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JFFインド『ダンスウィズミー』関口大輔プロデューサーインタビュー

日本のミュージカル映画に観客熱狂。ムンバイでの第3回日本映画祭に登壇

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国際交流基金が主催する「第3回日本映画祭(JFFインド)」は、2019年度、インド全7都市で巡回するなど、過去最大規模で実施されている。同映画祭は、2020年1月にムンバイでも開催され、ムンバイの『ダンスウィズミー』(2019)の上映の折には、日本から関口大輔プロデューサー(ワーナー・ブラザーズ ジャパン)が参加。本作は、『ウォーターボーイズ』(2001)、『スウィングガールズ』(2004)などを手掛けた矢口史靖監督がはじめてミュージカルに挑んだ大ヒット作であり、関口プロデューサーは本作で監督と4度目のタッグを組んだ。上映後のQ&Aセッションでは観客からさまざまな質問が寄せられ、登壇後には今回の参加を振り返ったお話を伺った。

(c)2019 “DANCE WITH ME” FILM PARTNERS

<『ダンスウィズミー』作品情報>

幼いころからミュージカルが嫌いだったOLの静香は、「曲が流れると歌って踊らずにいられない」という催眠術を掛けられてしまう。それからというもの、街中で流れるあらゆる音楽に体が勝手に反応してしまい、恋も仕事も失うことに……。果たして静香は元に戻れるのか。オーディションを勝ち抜いた三吉彩花が静香役として主演を務め、お笑い芸人のやしろ優、シンガーソングライターでモデルのchayなど個性豊かなメンバーが脇を固めている。

<上映後 Q&A>

観客① 矢口監督の『スウィングガールズ』が大好きです。その続編をつくることは考えていますか。

関口大輔プロデューサー(以下、関口):矢口監督が脚本も執筆したので、監督次第ですね。もし監督が続編を作ると決めたら、もちろん作ると思います。

観客 ② 日本発のミュージカル映画は珍しいように思います。本作をつくるにあたって難しかった点はありますか。

関口:確かに、日本でミュージカル映画はあまり作られていないので、インドやアメリカのミュージカル映画などをかたっぱしから観て、イチから一生懸命勉強しました。『ダンスウィズミー』はボリウッド(*)映画からもインスパイアされているといえると思います。

*インド映画産業の中心地であるムンバイの旧称「ボンベイ」を、アメリカ映画産業の中心地「ハリウッド」になぞらえた呼称である”ボリウッド”

(c)2019 “DANCE WITH ME” FILM PARTNERS

観客③ 作品の出発点となったテーマはなんだったのでしょうか。

関口:はじめに矢口監督と話していたのは、インド映画のようなミュージカルがつくりたいね、ということでした。ただ、映画としてのテーマはあまり考えていなかったです。それでも日本を舞台に取るなら日本の「リアリティー」を混ぜることは意識しよう、と。

そうしてできあがったのが『ダンスウィズミー』でした。日本人は、真面目で一生懸命働きすぎてしまい、自分の夢を見失いがちなんです。この映画では、主人公が夢を見つける姿を描くことで、夢を持つ大切さをメッセージとして伝えられたかな、と思っています。

観客④ できあがった作品は、当初監督がイメージしていたものと変わっているのでしょうか。

関口:矢口監督とわたしが映画をつくったのは、『ダンスウィズミー』で4本目でした。監督とは20年以上の付き合いがあり、気心の知れた仲なので、監督がはじめに脚本でイメージしたものを、うまく映画に仕立て上げられたんじゃないかと思います。

(c)2019 “DANCE WITH ME” FILM PARTNERS

観客⑤ 完璧な配役だと感じました。キャスティングはどのように行われたのですか?

関口:ほとんどがオーディションでした。たとえば、催眠術師のアシスタント役の女性(やしろ優)は、実はコメディアンで、映画に出演するのははじめてだったんです。

<個別インタビュー>

インドで『ダンスウィズミー』が上映されるにあたって、どのようなお気持ちでいらっしゃいましたか。

関口:インドは、世界一の映画製作本数を誇り、世界の映画の中心地ともいえると思います。正直、目の肥えたインド人のお客さんに、日本のミュージカル映画を観ていただくという不安はすごく大きかったです。でも「日本にもこういう挑戦している作品があるんだよ」ということをインドのお客さんに知ってもらう良い機会だと思って来ました。

上映の様子をご覧になって、そしてその後のQ&Aセッションにご登壇されていかがでしたか。

関口:皆さんすごく温かい目で作品を観てくださって、楽しんでいただけたのが嬉しかったです。最初はお世辞で褒めてくれているんだろうと思っていましたが、Q&Aでは作品の内容に踏み込んだ質問もたくさん出て、映画の楽しみ方をよく理解している国民なんだなと強く感じました。日本では、誰かが面白いと言ったから面白いというように、人の批評に引きずられてしまう意見が多い気がしますが、インドの方々は、それぞれが自分の人生などを投影して、映画を咀嚼しながら観ていて、成熟しているなと感じました。

具体的に印象的だった点はなんでしょうか。

関口:『ダンスウィズミー』は、主人公たちが成長していくさまを描いた映画ですが、いろいろな捉え方ができるようにつくりました。インドの皆さんが、それを理解してくださっていたのがうれしかったですね。たとえば、主人公の女の子がOLを辞めて、自分の生きたいように生きると決めるところに感動した、と言ってくれた方もいらっしゃいました。ちゃんと分かってくれている! と感動しました。

昨年、『天気の子』が日本のアニメ映画としてはじめて一般公開されました。これからインドにおいて日本映画は広まっていくでしょうか。

関口:もちろん、製作者としてインドの皆さんにも日本映画を観ていただきたいという気持ちはもっています。ただ、文化や言語の違いといったハードルはたくさんあると思います。それでも、いつかはそのハードルを超えて、インドの皆さんのもとにもたくさんの日本映画を届けたいですね。

もしインドで映画を撮れたら、やってみたいと思うことはありますか。

関口:むかしから、『ロスト・イン・トランスレーション』(ソフィア・コッポラ監督、2003)のような異文化交流をテーマにした映画やドラマを作りたいとずっと思っていました。今回、ムンバイの地に足を踏み入れて、「日本人がインドへとやってきて、成長する」という物語の映画のイメージが膨らんでいきました。
いま、日本と欧米での国際共同製作の企画をいくつか抱えているのですが、日本人が欧米に行っても壁はあまり大きくないのではないかとも思います。一方、インドと日本ではもっと大きな文化の違いがあるので、主人公には、インドでいろいろな面白いことが起こるだろうし、感動もきっとあるでしょう。たとえば、インド人の男の子と日本人の女の子の恋愛を描くとしたら、日本人同士で付き合うのとは全然違う壁があると思います。そういう作品ができたら面白いだろうな、なんて思いました。

『ダンスウィズミー』は、関口プロデューサーが語ったように、インドや欧米のミュージカル映画の系譜に連なりながらも、「いまの日本社会」に生きるひとたちのリアリティをうまく切り取った傑作である。「ミュージカル映画の本場」ともいえるインドでも、本作が熱烈に受け入れられたことは、劇場へと詰めかけた大勢の観客の熱気からも一目瞭然だった。観客のひとりとして、言語や国境のハードルをやすやすと超えていくような、次なる作品に期待したい。

取材:高橋和也/編集:いしがみえみ

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