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フィリピン日本映画祭2019開催レポート

過去最高動員数を記録!

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今年で第22回を迎えたフィリピン日本映画祭。毎年、日本・フィリピン友好月間である7月にキックオフするのが伝統となっており、今年も2019年7月3日~8月25日にかけて、マニラ首都圏4会場をはじめ、セブやダバオなど地方6都市、計10会場での開催となった。上映ラインナップは、2018年の大ヒット映画「カメラを止めるな!」をはじめ、「未来のミライ」「8年越しの花嫁 奇跡の実話」「祈りの幕が下りる時」「人魚の眠る家」、カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した是枝裕和監督の「万引き家族」「三度目の殺人」「海よりもまだ深く」や、「夜を告げるルーのうた」「賭ケグルイ」「パーフェクトワールド」「ミックス。」「曇天に笑う」など合計17作品。上映回数は全国で137回(メディア向け試写会を含む)、観客動員数は過去最高の3万3004人を記録した。

 

オープニングレセプション会場
オープニングレセプション会場

 

フィリピンでも知名度が高い佐藤健が主演の「サムライマラソン」がオープニング上映を飾り、映画祭がついに開幕。このサムライ映画にちなんで「和」をオープニングのテーマとし、伝統音楽とロックを融合した独自のスタイルで知られる三味線奏者・大野敬正氏をゲストパフォーマーに迎え、式典に華を添えて頂いた。同氏は関連イベントで、フィリピン文化センター所属のラモン・オブサン民族舞踊団(オブサン氏は日本の文化功労者にあたるNational Artist for Danceという称号の受章者)とのコラボも披露、日本とフィリピンの伝統ジャンルのフュージョンは、多くのフィリピン人観客を魅了した。また、日本映画祭と連動して、会場のショッピングモール館内は「和」で彩られ、浮世絵や刀、鎧コレクションの展示、日本庭園のインスタレーション、浴衣の着付けや剣道・武術の実演なども実施。映画のみならず、日本文化を堪能できる映画祭オープニングとなった。

今年は「鈴木家の嘘」の野尻克己監督と「焼肉ドラゴン」の鄭義信監督の2名を招待。日本映画祭は、2006年よりフィリピン最大のインディペンデント映画祭「シネマラヤ」(8月開催)と提携しており、「シネマラヤ」の 「Vision of Asia」セクションで、日本のインディペンデント映画を上映している。今年は、2018年東京国際映画祭で日本映画スプラッシュ部門作品賞を受賞した「鈴木家の嘘」を上映し、400席ある劇場はほぼ満席、野尻監督が舞台挨拶に登場した。自殺と残された遺族の苦しみというシリアスなテーマを扱いながらも随所にユーモアが散りばめられた同作に、客席からはたびたび笑いが起こっていた。上映後、短い時間ではあったが、監督は観客からの質問に答えた。

一方、国内最大規模の映画館を所有するフィリピン大学フィルム・インスティチュート(UPFI)の会場では、「焼肉ドラゴン」の鄭監督とプロデューサーが映画上映後に登壇。760席ほどある会場の9割程を埋め尽くした観客に挨拶した。舞台の脚本家・演出家として著名な鄭監督は以前、当基金の演劇ワークショップで来比しており、観客の中には当時の参加者もちらほら。監督らは、同大学の映画専攻の学生や映画関係者向けのトーク・討論会にも出席し、日本の映画制作の現場や現状について語った。なかなか聞くことのない日本の映画製作者たちの生の声・生きた情報に、参加した学生らは興味津々だった。

 

鄭監督(中央)とトーク参加者
鄭監督(中央)とトーク参加者

 

また同映画館では、是枝監督の「万引き家族」の特別上映を行ったが、1,000人以上の来場者が押しかけ、隣の建物まで長蛇の列ができる前代未聞の事態が発生。急遽、イスを追加設置したが、それでもイスに座れなかった人はフロアに座ることに。会場側の柔軟な対応で全ての来場者は会場に入れたが、この観客数にはUPFI関係者も驚き!

上記2名の監督登壇意外にも、「セカイイチオイシイ水 マロンパティの涙」の上映時には、エグゼクティブディレクターや制作・配給スタッフ、フィリピン人キャストが登場するサプライズもあった。同作は、フィリピンのパナイ島パンダン村で日本のNGO団体と現地ボランティアが、様々な苦難を乗り越え水道建設事業を行った実話を映画化したもので、主な撮影地はフィリピン。観客の中には、実際の水道事業に関わったNGO団体の関係者のほか、なんと、この映画を観るためにはるばるパンダン村から飛行機でマニラまで来た女性たちも! 質疑応答の際には、涙を流しながら感謝を述べる観客もおり、感慨深い上映となった。

日本映画祭はフィリピンでとても人気の映画祭と聞いていた通り、どの会場にも多くの来場者に足を運んでもらった。特に、日本映画を映画館で観る機会がなかなかない地方では、入場料が無料ということもあり、多くの学生が押し寄せて満席となる映画館が続出。上映の1時間以上前から整理券を求めて人々が列をなし、その次は良い席を確保しようと開場までさらに並んで待つというのが定番の光景だった。地方での映画祭開催は、予期せぬトラブルが起こりうるため、運営スタッフとしては本当に気が抜けない。今年は、地方での会場数を増やしたことで2会場同時開催の場所もあり、運営スタッフは二手に分かれた。問題が起きないことを祈っていたが、1会場で2日目に映写機が故障し、上映を一日キャンセルせざるを得ないトラブルが発生。翌日には映画館を変更し再開できたからよかったものの、本当にひやひやさせられた。

今年の日本映画祭は、2カ月間に満遍なくサイドイベントを組み込み、盛りだくさんの内容となった。運営スタッフとしては最初から最後まで油断できず、各地・各会場を奔走する日々となったが、結果的にフィリピン日本映画祭史上最高の動員数を記録し、多くのフィリピン人に日本映画を楽しんでもらえたことは、私たちとしてもうれしい限りである。

地方会場の様子(タクロバン)
地方会場の様子(タクロバン)
会場の様子(フィリピン大学フィルムインスティテュート)
会場の様子(フィリピン大学フィルムインスティテュート)
地方会場の様子(レガスピ)
地方会場の様子(レガスピ)

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