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笑いと仕事に役立つヒントが満載『引っ越し大名!』

今すぐ取り入れたい効率化やチームワークのスキルを紹介

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思いがけない通知、知らない土地、限られた時間と予算-転勤を言い渡された経験がある人なら、大いに共感できることではないだろうか。日本で働く人にとって転勤は日常茶飯事であり、その命令を断ることはまずできないと言って良いだろう。転勤というと現代社会の話と思いがちだが、実は急な引っ越し命令というものは江戸時代の日本にも存在し、『引っ越し大名!』では、そんな大移動を実現するため皆が知恵を絞り、国替えという一大プロジェクトに取り組む様子が描かれている。時代劇ではあるが、その様子は現代のサラリーマン文化に通ずるところがあり、本作に出てくる引っ越しテクニックは現代社会でもすぐに応用できそうなものばかりだ。

土橋章宏作小説を基に犬童一心監督が手がけた映画『引っ越し大名!』の舞台は、1682年、江戸幕府の統治下にあり、大名が地方を統制していた日本。当時は様々な政治的理由から、幕府が大名の領地を移し替える国替えが行われていた。大抵急な話であり、案内や資金が給付されたりするわけでもない。作中の播磨国姫路藩大名・松平直矩に課せられるのは、正にそのような難題だ。松平は実在した大名であり、在任中7回もの国替えを命じられた。数千人規模の藩士とその家族を、600km離れたこれまでの半分の石高の土地に2ヶ月で引っ越しさせることを命じられた松平。不可能とも思えるこの困難な任務に挑むには、知識と入念さを持ち合わせた、熱心なその道の「プロ」が必要である。そこで登場するのが主人公の片桐春之介(星野源)だ。

書庫番として働き、人よりも書物に囲まれることを好む、慎ましやかな引きこもり侍、片桐。書庫にこもって様々な知識を得ていたであろうとされ、引っ越し奉行として白羽の矢が立つ。片桐に与えられた課題は、藩全体の引っ越しの計画及び減封と限られた予算を理由とした藩士半数以上の人員削減。経験もなく、人付き合いも苦手な片桐は任務から逃れようとするが失敗し、受け入れるか切腹かという究極の選択を迫られる。

ストーリーは、片桐が鷹村源右衛門(高橋一生)、他の藩士、そして前任の引っ越し奉行の娘で博識な於蘭(高畑充希)と共に引っ越しのための作戦を立てる中で展開していく。一つ一つ難題を攻略するうち、片桐は徐々に自信をつけ、他の藩士からも一目置かれるようになっていく。

©2019 "Samurai Shifters" Film Partners

©2019 “Samurai Shifters” Film Partners

作戦①:所有物を半分に減らす

引っ越しに断捨離は有効な策だが、松平の藩にとって物を減らすことは不可欠なことだ。片桐は、藩の者たちに不要な所有物を処分することを要請し、片桐自身も模範を示すため、大事にしている大量の書庫の本を火にくべる。所有のコレクションが貴重品ばかりで何も捨てる物がないという者が現れると、片桐は部屋の物を全て隠し、見ないで所有物を書き出すよう求める。結果、所有者が思い出すこともできない品はいらない物と判定し、書き出すことができなった物を放棄するよう言い渡す。

作戦②:リストラ対象者には新しい役職を

全員で引っ越すには、半分以下となった新たな石高数も引っ越しに必要な費用も不十分であり、片桐は藩士半数以上のリストラという辛い選択を余儀無くされる。経営難を抱えた会社でもそうだが、職員のことを思うリーダーにとってこれは大変に憂鬱な任務だ。そこで片桐は、藩士らを解雇するのではなく、所領規模が元に戻り予算ができたら迎えに来ることを約束し、藩の将来のため、農民として田畑を作らせることを計画する。実際に片桐が後にその約束を果たす頃には、彼らは他の藩士が持たない堅実なスキルを手に入れていた。

作戦③:チームで楽しみながら取り組むこと

任務を遂行するにあたって片桐が明確にしたことは、全員が協力しなければ国替えは失敗するということだ。「引っ越しは戦。皆で力を合わせよう」と藩士らに呼びかける。片桐は、経費節約のため自分たちの足で荷物を運ぶことを提案。藩士たちは引っ越しの日に備え、体を鍛え始める。勘定頭の中西監物は、夜も休まず引っ越し費用を貸してくれそうな商家を調べ、片桐が徐々に特別な感情を抱くようになる於蘭も、元引っ越し奉行であった父が残した過去の国替えの記録を提供し側で手伝う。鷹村は道中もしものことがあった時のために戦闘に備えるが、その懸念は、藩の巨大な槍で戦うシーンで現実となる。(実際に使用されたのはレプリカだが、それでも十数キロの重量があったそうだ。)藩の協調性の高まりを示唆する、歌いながら鍛えたり新しい国までの長い道のりを歩いたりするミュージカルのようなシーンでは、皆の前向きで楽しげな姿が印象的だ。姫路藩にとって順調に物事が進む中、力を合わせることの重要さが身に沁みる。

笑いと感動、そして学びに満ちた本作『引っ越し大名!』は、仕事で成功を収めたい人必見の時代劇コメディーだ。

キャスト:星野源、高橋一生、高畑充希
監督:犬童一心

文:ローズ・ハネダ

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