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2019年公開日本映画ベスト10!

心動かす作品満載だった1年を振り返る

令和元年の年の瀬、JFF編集部では今年感動的な物語やクリエイティブなシネマトグラフィー、また優れた演技で私たちを楽しませてくれた映画作品を思い返してみた。愛情、喪失、気候変動、企業犯罪、人生の分岐点やそこでの選択など、多岐にわたるテーマを扱った素晴らしい物語が多数発表されただけでなく、映像、衣装、アクション、シネマトグラフィーの面でも期待を上回る1年であった。そんな日本映画界の2010年代最後を飾るベスト10作品を選びながら、2020年代も日本映画が進化し続け、多くの人が邦画を楽しんでくれることを願う。それでは早速、2019年最も印象に残った映画作品をご紹介しよう。

 

1.天気の子

新海誠監督過去作品の一番良いところを集めて更に洗練させたかのような見事な仕上がりとなったファンタジーアニメ映画。本作は、東京を襲うアポカリプス的異常天候を背景に若者の恋愛を描いた物語で、高校1年生の森嶋帆高と孤児で天気を操ることができる天野陽菜を追う。気候変動や喪失、希望といった映画の複雑なテーマをまとめ上げ、作品に深みをもたらしているのが、日本のロックバンド・RADWIMPSが手がけた主題歌だ。『天気の子』は、2019年の邦画興行収入1位を記録した。

キャスト:醍醐虎汰朗、森七菜
監督:新海誠
ウェブサイト:https://tenkinoko.com/

 

2.キングダム

原泰久による同題名漫画作品を元にした『キングダム』は、中国の春秋戦国時代(紀元前245年)が舞台。後の始皇帝が古代中国の国々を征服するのを助ける将軍・李信の史実に基づく物語だが、フィクションの部分も多い。ビデオゲームデザイナーでもある佐藤信介監督は、『GANTZ』(2011)や『BLEACH』(2018)など、ファンタジー系アクションやアドベンチャー映画で知られるが、『キングダム』もそんな佐藤監督得意分野の作品だ。歴史に忠実な伝記映画としてではなく、美しく工夫が凝らされたセットの中、色彩豊かな衣装で披露される圧巻のアクション満載の映画として魅力的な本作は、2019年公開の最も優秀な日本映画の1つであることは間違いないだろう。

キャスト:山崎賢人、吉沢亮、長澤まさみ、橋本環奈
監督:佐藤信介
ウェブサイト:https://kingdom-the-movie.jp/index.html

 

3.マスカレード・ホテル

東京で発生する連続殺人の次の犯行現場が、高級ホテル・ホテルコルテシア東京と推測されることを知った刑事・新田浩介。ホテルのフロントデスクで潜入捜査を行うことになるが、ぶっきらぼうなところが問題となり、すぐに監督役の山岸尚美やホテル客とぶつかってしまう。殺人ミステリーとして始まる物語だが、尚美の教えを受け角が取れていく浩介の姿を通し、東京が2020年夏季五輪開催地と決定した際に話題となった日本の「おもてなし」についても探求する。ミステリーの巨匠・東野圭吾原作ベストセラー小説を元にしたマスカレード・ホテルは、助演俳優が演じる面白く多彩な脇役たちに支えられ、サスペンスものでありながらも同時に笑えて学べるという、数少ない2019年公開映画の1つだ。

キャスト:木村拓哉、長澤まさみ
監督:鈴木雅之
ウェブサイト:http://masquerade-hotel.jp/

 

4.翔んで埼玉

外国人には分かりずらい内輪ウケネタで、主に日本人向けの映画となってもおかしくはなかった『翔んで埼玉』。しかし、東京が埼玉を見下すというテーマは案外世界共通になり得る。その点で本作の賢いところは、歌舞伎かオペラの衣装のような華美な服を着た人物たちが登場し、虐げられた埼玉県民は首都入りするためにビザを要するという現実からかけ離れた異次元の日本を舞台とした物語を、大げさなラジオドラマとして語るスタイルにしたところだ。めちゃくちゃではあるが、それによってこの東京埼玉問題は現実の日本から引き離され、どこであろうが田舎出身であることで見下されたことがある人には心に響くようになっている。『テルマエロマエ』の武内英樹監督らしいハイテンポなエンターテイメントアクションで、観る人を最後まで釘付けにする。

キャスト:二階堂ふみ、GACKT
監督:武内英樹
ウェブサイト:http://www.tondesaitama.com/

 

5.コンフィデンスマンJP –ロマンス編–

同題名人気テレビドラマを元にした映画『コンフィデンスマンJP』では、長澤まさみ演じるダー子率いる詐欺師集団が香港でマフィアのボスからダイヤを盗む。テレビドラマのヒット要素を全て詰め込み、大画面用に更にパワーアップさせた本作では、狙う宝もより大きく、アクションは一層激しく、また詐欺師たちの嘘も複雑化している。最初の数分で設定や主役たちの性格がおさらいされるので、ダー子の世界が初めての人も問題なく楽しめるところが良い。女性が主役のエキサイティングでスマートな強盗映画なら、本作で間違いなしだ。

キャスト:長澤まさみ、東出昌大
監督:田中亮
ウェブサイト:https://confidenceman-movie.com/romance/

 

6.おっさんずラブ LOVE or DEAD

テレビドラマ『おっさんずラブ』続編である瑠東東一郎監督の本映画作は、日本の映画界では極めて珍しい、同性愛をテーマとした上品で面白いコメディー作品である。『おっさんずラブ LOVE or DEAD』で田中圭が演じるのは、恋愛運のない会社員・春田。同性愛と向き合い、同僚の牧と幸せを掴むが、牧が本社に転勤となり、春田の元恋人で上司の黒沢が記憶喪失を発症し、再び部下に恋してしまうという複雑な展開に。日本の同性愛のフィルモグラフィーに新しい風を吹かす、おすすめの疾走感溢れるコメディー。

キャスト:田中圭、林遣都、吉田鋼太郎
監督:瑠東東一郎
ウェブサイト:https://ossanslove-the-movie.com/

 

7.記憶にございません!

政治演説中に投げられた石が頭に当たり記憶を失った、国民に嫌われる日本国総理大臣・黒田啓介。記憶喪失となった事実は秘書官のみが知る秘密として物語が展開するが、以前とは打って変わって国のために動こうとする黒田の姿に、試練の中、明るい兆しが見える。どんな人にも人生にはセカンドチャンスがあるというメッセージを込めた、笑いに溢れ、時にダークなコメディー作品。大爆笑のギャグが連投される中、三谷幸喜監督によって巧みにそのメッセージが伝えられる。

キャスト:中井貴一、ディーン・フジオカ、石田ゆり子、草刈正雄、佐藤浩市
監督:三谷幸喜
ウェブサイト:https://kiokunashi-movie.jp/

 

8.ミュウツーの逆襲 EVOLUTION

「どのような境遇で生を受けたかは関係ない。授かった命をどう輝かせるかが大事なのだ。」カリスマ政治活動家の名言のようであるが、実はこれは1998年に初アニメ映画化されたポケモンシリーズの英語版で、モンスターのミュウツーが呟く言葉である。このような人気名言を生んだ作品だけに、20年後の2019年、コンピューターアニメーションを駆使したリメイクが発表されるのも頷ける。元のストーリーはほぼそのままに、CGIテクノロジーを活かして最後のバトルシーンなどの重要シーンに更に躍動感を持たせた。昔のポケモンファンも、大満足の一作だろう。

キャスト:松本梨香、大谷育江
監督:湯山邦彦、榊󠄀原幹典
ウェブサイト:https://www.pokemon-movie.jp/

 

9.七つの会議

企業犯罪ストーリーを得意とする小説家・池井戸潤原作の『七つの会議』は、日本の企業文化をテーマに、じわじわと怒りがこみ上げてくる作品に仕上がっている。中堅企業内部でのやり取りや秘密、そしてその裏に潜むドラマを中心とした物語。売り上げ目標に届かなかったことを理由に他の社員の前で激しく叱責する上司や、定時に上がったことで白い目を向けられる職員などは、本作が明かす日本の企業社会における闇の部分のほんの一角だ。物語はある隠蔽を中心に展開するが、本作の良さはクールな建前と泥沼化した感情を有するリアルな日本企業の世界を覗き込めるところにある。超豪華キャストが織りなす本作は、今年最も痛く現実的な世界を描いた重要作の1つである。

キャスト:野村萬斎、香川照之、及川光博、片岡愛之助、音尾琢真
監督:福澤克雄
ウェブサイト:http://nanakai-movie.jp/

 

10.アルキメデスの大戦

第二次世界大戦直前に完成した戦艦大和は、重量7万2800トンとそれまでに造船されたどの船よりも重く、また強力であったと思われる。『アルキメデスの対戦』は、菅田将暉演じる天才数学者の目を通し、科学的な視点からこの巨大な戦艦の製作について描いた物語だ。作品の魅力を深めているのは、戦艦大和の造船費用を巡る軍の陰謀に関する時代劇サスペンス・スリラー要素だ。このフィクションの部分に焦点を当てることで、うまく戦争の恐怖の部分に距離を置き、観る人がこのリアル「デス・スター」のような船の製作ストーリーを楽しめるようになっている。

キャスト:菅田将暉、舘ひろし
監督:山崎貴
ウェブサイト:https://archimedes-movie.jp/

皆さんの2019年のお気に入り映画は何だっただろう。ご紹介したベスト10も是非ご覧になって、気に入った作品を教えていただきたい。
各国の次回の日本映画祭の日程、会場、上映情報などはこちら。

 

文:ストゥルシェヴィッチ・ツェザーリ

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