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東京国際映画祭 アジア・ネットワーキング・レセプション

世界中から来日中の監督やスター俳優たちに突撃インタビュー

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国際映画祭とは実に不思議な場所だ。他の文化的なイベントとは一線を画し、映画祭は私たち自身が思いもしていなかった場所へと誘い、初めての体験や新たな人物、そして考えてもいなかった新しい可能性との出会いを提供してくれる。映画監督、俳優、プロデューサー、そしてもちろん世界中から映画ファンが集まるお祭りは、私たちの存在の中核の部分を照らし出す–– それぞれの人間味のあるストーリーだ。ここでは全ての人がストーリーを持ち寄りシェアする場所と言えるかもしれない。

第31回東京国際映画祭の3日目にあたる2018年10月27日には、国際交流基金アジアセンターが主催する毎年恒例のアジア・ネットワーキング・レセプションが開催され、多くの映画関係者やゲストが一堂に会した。そこで編集部が聞いたストーリーの一部をここで読者の皆さんと共有したい。

インド:『世界はリズムで満ちている』 メーナン夫妻

プロデューサーのラター・メーナン(左)とラージーヴ・メーナン監督 (右)

東京国際映画祭で上映しているあなたの作品について教えてください。

メーナン監督:『世界はリズムで満ちている』は、南インドの伝統的な打楽器・ムリダンガムを演奏したいと願う青年の話です。彼はその楽器を作る家族の出身ですが、演奏するのはカースト制度で上級階級にあたる人々のみ。楽器が奏でる鼓動に魅了された青年は、どうにか演奏したいと考えます。しかし、伝統的な楽器を演奏するためには師匠に弟子入りし、その後も社会階級という壁を乗り越えていかなければなりません。

本作は私たちが以前製作したドキュメンタリーから構想のヒントを得ました。インドで一番のムリダンガム奏者と言われる82歳についての話なのですが、彼の家で取材をした際に、奏者になるためにヒンドゥー教のカースト制度で最下級のダリット(不可触民)からキリスト教とへ改宗した青年に出会いました。そこで本作では「もし彼が実際に有名な奏者になったら」をコンセプトに、そこまでの過程のストーリーを描きました。

音楽は『スラムドッグ$ミリオネア』でアカデミー賞作曲賞を受賞したA・R・ラフマーンが作曲を担当しています。もし音楽とハッピーエンディングがお好きなのであれば、ぜひ本作も観て欲しいですね。

東京国際映画祭はどう楽しんでいますか?

ラター:素晴らしいの一言です。特に、開会式での和太鼓には心を打たれました。私たちの作品のテーマに共鳴しているように感じ、感動しました。

日本や日本の映画はあなたの作品やキャリアにどう影響していますか?

ラター:私たちは黒澤明作品を観て育ちましたし、最近では是枝裕和監督の作品に大きなインスピレーションを受けています。今年パルム・ドールを受賞した『万引き家族』もカンヌ映画祭で鑑賞しました。是枝監督はとても穏やかな方で、そんな彼の人柄が作品の題材アイデアの中核にあると感じます。もし機会があれば、是非是枝監督と一緒に映画を作ってみたいですね。

フィリピン:『悪魔の季節』 シャイーナ・マグダヤオ(女優)



レッドカーペットでは素晴らしい赤のレッドガウンをお召しでしたね。どなたのデザインですか?

ありがとうございます。あのドレスはフィリピン人デザイナーのマイケル・レイヴァ氏にデザインしてもらいました。

東京、そして東京国際映画祭に来た感想をお聞かせください。

私にとって映画祭に参加するのは今回で2回目で、東京での参加は初めてです。映画祭開催期間により多く日本の映画に触れ、日本の映画についての理解を深められたらと楽しみにしています。「日本映画」というとアニメーション映画が注目されがちですが、みんな知らないだけでそれ以外にも色々あるはずですから。

特に観たいと思っている日本の映画はありますか?

是枝裕和監督の『万引き家族』について幾つか記事を読んだので、もし機会があれば観たいと思っています。

東京での映画祭には初参加と伺いました。東京に来たのも今回が初めてですか?

東京は今回で3回目です。10年前の18歳の誕生日も東京でお祝いしたんですよ。北海道・ニセコと大阪にも行ったことがありますが、残念なことに定番の京都や桜の季節には日本に来たことがまだないんです!今回は、映画祭が終了したら新潟に行って私の誕生日をお祝いする予定です。

『悪魔の季節』について少し教えてください。

この作品は「ミュージカルと真逆のミュージカル」と揶揄される通り、私たちはメロディーがないアカペラの状態で歌っているのが非常に特徴的です。1970年代後半のマルコス独裁政権時のフィリピンで何が起こっていたかを描写した4時間という長編映画で、私の役はアクティビストで、実際に当時その状況下で生活していた方々の多くを映し出しています。

メキシコ:『ヒストリー・レッスン』 キャスト&クルー

マルセリーノ ・イスラス・エルナンデス監督(右)、主演女優のベロニカ・ランガー(中央右)、プロデューサーのアンドレア・トカ(左)、カルロス・モラレス(中央左)

東京国際映画祭はいかがですか?

アンドレア・トカ:今日初めて私たちの映画が上映されましたが、観客の皆さんに楽しめていただけたようで非常に嬉しく思います。上映時間が朝早くだったので余り多くの方はいらっしゃらないと思っていましたが、満員でした。ありがとう!お客さんからとても温かいコメントも頂けたので、今日は間違いなく私たちにとって最高の1日です。

それは素晴らしいですね!映画祭が終わった後も日本を観光して行かれる予定ですか?

エルナンデス監督:もちろん、その予定です。昨日はみんなで観光バスで東京を周遊しました。明日から京都で2日間過ごした後、第2回目の上映に合わせて東京に戻る予定です。

日本映画はお好きですか?お気に入りの映画があれば教えてください。

エルナンデス監督:日本映画は大好きです。私は映画監督の傍ら、メキシコでフィルモグラフィーを教えています。授業の中で日本の映画を題材にすることも多いんですよ。私の一番のお気に入りは『東京物語』で、もちろんこの作品は授業でも重要な役割を担っています。

ランガー:私は黒澤明映画は全て大好きですし、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』もお気に入りです。

インドネシア:『めくるめく愛の詩』 ガリン・ヌグロホ監督、アニサ・ヘルタミ(女優)

アニサ・ヘルタミ(右)

お二人とも以前にも東京国際映画祭には参加されています。東京に戻られてどのようなお気持ちですか?

ヌグロホ監督: いつ来ても素晴らしい場所です。これまで私が監督した13作品が東京国際映画祭で上映され、数年前には賞も頂きました。またこの場に戻ってこられて幸せです。東京国際映画祭は私のキャリアの中でも常に大切な意味を持つイベントですから。

ヘルタミ:6年前に初めて参加して以来、東京国際映画祭には今回で2回目の参加です。この場に戻れて非常に光栄ですし、インドネシア映画を日本の皆様にお届けできることを嬉しく思います。

ガリン・ヌグロホ監督

改めて、おめでとうございます。そしてお帰りなさい!日本の映画について伺っていきます。日本映画についてはどうお考えですか?そしてお好きな日本人監督や俳優がいたら教えてください。

ヘルタミ:今年の映画祭では、『アジア三面鏡2018:Journey』は素晴らしく、楽しませてもらいました。何よりもストーリーが秀でていて美しかった。シンプルですが、とてもパワフルでした。

私の一番尊敬している日本の映画監督というとやはり黒澤明監督です。映画以外で言うと、アーティストの草間彌生やデザイナーの山本耀司が大好きです。ヨウジヤマモトの服は特にお気に入りで、実は映画祭2日目の昨日は彼の服を着ていたんですよ。

日本の観客にメッセージをお願いします。

ヘルタミ:私たちの作品をご覧いただきありがとうございます。日本の皆さんには、本作を通して何か新しい気づきがあれば嬉しいです。東京は世界中から多くの外国人を迎え入れている都市ですが、私たちも作品を通して、今日を生きる人類全ての命を祝うことができればと祈っています。

『アジア三面鏡2018:Journey』(碧朱) ナンダーミャッアウン(女優)

ミャンマー出身の女優 ナンダーミャッアウン

あなたが参加した作品について教えてください

本作は、日本・中国・インドネシアの監督3名が、ひとつのテーマの元にオムニバス映画を製作した共同製作作品です。私が参加したのはそのうちの1作品『碧朱』で、高度経済成長を駆け抜けるヤンゴンが舞台となっています。大規模な鉄道の高速化プロジェクトが市内では始まっていますが、私が演じる役の女の子はそのような急激な変化には反対で、変化に順応することを拒んでいます。

本作の監督は日本人の松永大司監督、そして日本では非常に有名な俳優である長谷川博己が主演を務めました。日本人の製作陣や俳優と一緒に仕事をしてみて如何でしたか?

日本の製作チームと仕事をするのは初めての経験だったので、初めはすごく緊張していました。しかし、日本人クルーの皆さんや長谷川さんが非常に優しく接してくれて、不安もすぐなくなりました。長谷川さんは日本では非常に有名な俳優ですが、どなたにも優しい方でした。

日本の観客にメッセージをお願いします。

日本の皆さんには映画を楽しんでもらいたいですし、映画が伝えようとしているメッセージが届けば嬉しいです。そして、そのメッセージを理解し、支持してもらえることを願っています。

フィリピン:『それぞれの道のり』 キドラット・タヒミック監督

フィリピンのインディペンデント映画の父とも称されるキドラット・タヒミック監督(左)
笑いながら気さくにインタビューに答える姿が印象的だった。

TIFFへお帰りなさい!最新作について教えてください。

『それぞれの道のり』はラヴ・ディアス、ブリランテ・メンドーサ、そして私の3監督で製作したオムニバス作品です。原題の “Lakbayan” は「Journey(旅)」を意味し、本作では3つのそれぞれ違う旅を描写しています。私のパートでは、悟りまでの旅がテーマです。

スピリチュアルな旅に関連して、もし日本でどこにでも行けるとしたらどこに行きますか?

能登半島に行くでしょう。非常にスピリチュアルな場所です。一番初めに訪れたのは1967年で、その後2012年にもう一度行きました。

東京国際映画祭には1980年代初頭から参加されています。都内にもお気に入りの場所があれば教えてください。

東京ではなく埼玉ですが、竹寺と呼ばれるお寺があります。竹藪に囲まれた小さなお寺です。私にとってそこが日本の中での心のふるさとですね。そこのお坊さんが私のベストフレンドなんです。彼の息子がフィリピンに留学していたので、私の息子と一緒に育ったんですよ。

日本に幾度も訪れたことのあるタヒミック監督から見て、日本の文化で特に魅力的に映ることはどういったことでしょうか?

私が思うに、日本人は密かに伝統的な生活に戻りたがってるんです。「里山」という言葉に表れているとおり、元来里である山や自然に帰りたいと願っている。超近代的な生活の中でも自然へ戻るという本能的な部分を忘れないバランス感覚が興味深いと思いますね。他の先進社会ではそういった感覚が既になくなっていると感じるので。私たちは進化を止めることはできませんが、バランスを取ることはできるし、努力する必要もあると思います。

キドラット・タヒミック監督(左)とその息子で俳優のカブニャン・デ・ギーア

日本の観客にメッセージをお願いします。

私は常々日本に対して親近感を感じています。おそらくそれは日本とフィリピンの文化が似ているからでしょう。例えば、自分以外の人への思いやりが考え方に根付いているところとか。大きく進んだ産業化社会にも関わらず、日本人は共生する精神も未だに持ち合わせていると思います。私はそういった気持ちや考えが今の世界に必要だと感じるのです。もし、日本の若い人たちがそのような素晴らしい文化を絶やさずにいられたら、競争社会の悪い部分ばかりが目立つ昨今の社会から脱することができるのではないでしょうか。私たちは急いで成長することばかりに気を取られている間に、ブレーキを無くしてしまったのでしょうね。

<p>そのほかにも以下の方々お話を伺った。

タイ:『ブラザー・オブ・ザ・イヤー』

ウィッタヤー・トーンユーヨン監督(右)と俳優のサニー・スワンメーターノン(左)

それぞれ違う兄弟や姉妹の関係について描写した映画。フレンドリーな二人は、日本の映画で一番好きなのは是枝監督の『海街diary』だそう。今回の東京滞在中で一番楽しみにしているのは、東京シティビューで開催されている『藤子不二雄Ⓐ展 -Ⓐの変コレクション-』を見に行くことらしい。

中国:『武術の孤児』

ホアン・ホアン監督(左)

東京国際映画祭でワールドプレミアを迎えた『武術の孤児』のホアン・ホアン監督にお話を伺った。今回が人生初めての東京で、国際的な都市というだけでなく映画祭自体も非常に国際的だと感嘆の表情をみせた。また、ちょっとした彼自身のトリビアも教えてくれた:もともと日本のアニメやゲームが大好きで、一番日本で好きな映画監督もアニメーションで有名な湯浅政明監督だそう。

日本:『ハード・コア』

サービス精神旺盛な山下敦弘監督

特別招待枠で最新作『ハード・コア』を出品していた山下敦弘監督にも遭遇。人気コミックを原作とする本作は、3人の青年の目の前に突如現れた謎のロボットが、彼らの人生を一変させて行くという話だ。

皆様、ご協力ありがとうございました。また来年の東京国際映画祭でお会いしましょう!

Interview and text: Alexandra Homma
Photos: David Jaskiewicz
翻訳:本郷誠哉

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