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東北紀行:映画を通して訪れ感じる東北の自然、文化、絆

東北の魅力を映画の中で発見

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2011年3月11日東日本を壊滅的な地震と津波が襲った。この大震災以前、東北といえば美しい景観、豊かな自然、そして見事な海岸線が楽しめる観光地の代名詞だった。その自然美を求め、秋田・青森・岩手・福島・宮城・山形の東北6県には都市部から多くの観光客が訪れていたものだった。

しかしながら震災後、福島の原発事故と津波による甚大な被害を受けた「被災地」となった。それでも「東北」という言葉には震災にも負けず復興に向けて着実に歩みを進めている希望の響きがある。そして、このエリアは今でも旅人を魅了するものであふれている。豊かな食文化、そこに息づいている伝統、美しい景勝地に、地域の人々のあたたかいおもてなし。新しい東北を発見してもらえることを願って、この地域の魅力がたっぷり詰まった映画を5作品ご紹介したい。

1. 奇跡のリンゴ, 2013

青森・弘前市が舞台の『奇跡のリンゴ』はリンゴ栽培に熱意を燃やした一人の男の実話にもとづいた映画作品。青森は国内屈指のリンゴ生産地として有名だが、地元のリンゴ農家・木村秋則は他の農家とは何か違うことができないかと考えていた。そんな折、妻が農薬の影響で苦しんだことをきっかけに、無農薬のリンゴを作るという思い切った決断をする。1970年代当時の日本では農薬を使うことは当たり前であり、そんなことは誰も思いもしないようなことだった。

それから10年もの歳月を無農薬リンゴ栽培に費やすも、結果は作物をだめにし、農家としての評判を落とし、そして家計も破綻するといった散々なものだった。窮地に追い込まれ自殺を決意するが、ある光景が木村の考え方を変える。そして、それは後に彼の人生をも左右することになる糸口だった。不可能とも思える難題に対して不屈の努力を重ねる木村の背景には、青森の自然景観やリンゴ農園が見事に広がっている。

キャスト:阿部サダヲ、菅野美穂
監督:中村義洋

2. アブラクサスの祭, 2010

映画『アブラクサスの祭』は福島の小さな町の禅寺に仕える僧侶・浄念の人生を描く。元ロックミュージシャンという異色の経歴を持つ浄念は、社会的な期待と個人的な悩みの狭間で葛藤していた。そしてその答えはやはり音楽の中にしかないのではないかと思い至る。自身の苦悩から解放されるため、この町でライブを行うことに決めた浄念。彼と周囲の人々は、自分が何者か、どうあるべきかは何からも、時には伝統にすら縛られることはないと教わるのだった。

『アブラクサスの祭』は福島生まれの僧侶で芥川賞作家・玄侑宗久の小説の映画化作品。悩みを抱えた元ミュージシャンで僧侶の浄念には、日本インディーズ界のスター・スネオヘアーを迎えた。

キャスト:スネオヘアー、ともさかりえ、本上まなみ
監督:加藤直輝

3. フラガール, 2006

『フラガール』も『アブラクサスの祭』と同様、福島で撮影された映画の1つ。1960年代半ばの、いわき市常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)が舞台となった実話に基づいて映画化された。常磐炭鉱の閉山に伴い、スパリゾートが誕生することになったが、解雇される鉱夫からの猛反対にあうが、その鉱夫の娘たちは新しいスパリゾートで働くフラダンサーになるための練習をするという。鉱夫たちは葛藤するが、娘たちが自分の新しい役割を受け入れる決意をし、努力していく姿を見て次第に考えを改めていく…。

日本で極めて有名な本作品は世界中の評論家からの称賛を受け、最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀助演女優賞、話題賞を受賞し、2007年日本アカデミー賞を総なめにした。

キャスト:蒼井優、豊川悦司、松雪泰子
監督:李相日txt

4. リトル・フォレスト 冬・春, 2015

日本の雪景色を見るのなら、岩手を舞台にしたこの映画がお薦めだ。四季を題材にした人気マンガの映画化で2部作の第2部にあたる。主人公は若い女の子・いち子。いち子は都会暮らしをしていたが、岩手の山間の集落に戻り、自給自足に近い生活を始めていた。生まれ育った町・小森の険しい地形で野菜を育て、食料を調達し、保存し、料理する毎日を送っていたいち子だったが、幼い頃母と過ごした日々を思い出しては苦悩していた。母は突然家を出ていったきりで、時折手紙が届くだけだった。

1年間にわたって撮影された「冬・春」、「夏・秋」どちらの映画撮影術も東北の片隅のこの地の四季折々の美しさに敬意を示している。『リトル・フォレスト』は正真正銘、岩手愛がぎっしり詰まった物語であり、このエリアの魅力を存分に堪能できる美しい風景はまるで色鮮やかな絵はがきのようでもある。

キャスト:橋本愛、三浦貴大
監督:森淳一

5. おくりびと, 2008

山形の雪国を舞台に「死」という日本社会のタブーに深く切り込んだ映画作品。大悟は才能あるチェロ奏者だったが慣れ親しんだ東京を離れ、妻の美香と共に大悟の生まれ育った北の地へと戻ってくる。新聞に出ていた謎の求人広告を見つけた大悟は、地元の納棺師のアシスタントになるという一生に1度のチャンスを得る。しかし、ある理由から妻へは新しい仕事のことは隠していた。

滝田洋二郎監督は今作品で「死の儀式」についてありがちな誤解の払拭に取り組み話題を呼んだ。実際に多くの人々から、納棺の儀式がこんなにも気品高く美しいとは知らなかった、などの声があがった。『おくりびと』は世界中で高い評価を得て、2009年のアカデミー賞では外国語映画賞を受賞し、日本アカデミー賞では作品賞を含む10部門を掻っ攫った。雪景色や古い家、この地方で営まれている日々の暮らしなど映画に出てくる風景はどこか懐かしく、私たちの感情に訴えかけてくる。

キャスト:本木雅弘、広末涼子
監督:滝田洋二郎

今回紹介した映画5作品はどれを見ても東北の人々の内なる力強さを表現し称えている。大きな困難を乗り越えて、前を向いて生きていく人々だ。津波に負けず、東北の地が荒れ地となることを拒み、そして、どこまでも再生し続ける自然の力強さを映画から感じ取っていただけることだろう。

文:Suzanne Bhagan
訳:柿谷まりあ

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