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フィリピン日本映画祭 小泉徳宏監督インタビュー

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2018年7月4日、フィリピンの首都マニラにて「フィリピン日本映画祭」が行われ、オープニング作品『ちはやふる―結び―』のメガホンを取った小泉徳宏監督が特別ゲストとして登場。オープニングセレモニーに参加したほか、滞在中に劇場や大学にて上映された『ちはやふる』三部作のトークイベントなどを通じ、来場した多くのファンとの交流を楽しんだ。イベント終了後、小泉監督に映画祭の感想や本作の秘話等を伺った。

日本と比べてもお客さんのリアクションがとても大きかった

――今回、フィリピン日本映画祭に参加されたいかがでしたか?
とても楽しかったです。こんなに大勢のお客さんに作品を見ていただけるなんて思っていなかったですしリアクションもとても良かったので、見ていただいた甲斐はあったんじゃいなかなと思いました(笑)。日本の上映と比べてもリアクションは人一倍大きかったんじゃないかな。今回はシリーズ最後となる『~―結び―』だけじゃなく、第1弾の『~―上の句―』と第2弾の『~―下の句―』も上映していただきましたけど、3部作全部を一挙に上映する機会は日本ではなかなかないですから有難かったです。

観客から、『ちはやふる』というタイトルなった理由など聞かれていましたね。
本来、読み方としては「ちはやぶる」なんですよね。でも文字面は「ちはやふる」となって、かるたにも「ちはやふる」と書いてあるんです。原作者の末次由紀先生によれば、主人公の綾瀬千早が小学生の時に間違えて「ちはやふる」と読んだから、ということらしいです。

第3弾で描いたのは、時間を超えた“繋がり”

――第3弾となった『~―結び―』については、監督の中でテーマ等はあったのでしょうか?
『~―上の句―』では、団体戦を通して仲間になっていく過程や連帯感、各キャラクターが持っている運命について描いて、『~―下の句―』では仲間になった者たちが物理的に近くにいなくなっても、“個人”になっても精神的に繋がっている仲間というか、離れていてもずっとお互いを感じているような連帯感として発展させていきました。この2作については同じ時間軸に生きている人たちの“繋がり”の物語だったんですが、『~―結び―』に関しては、時間をさらに超えての“繋がり”を描きました。千年前の人や千年先の人、現在、千早の後輩やまだ見ぬ後輩、そういう時間軸の中での継承という感じでしょうか。ただ、最初から狙っていたわけではなくて、撮影しながら自分でも「まさかこういう物語になっていくとは」という感じが正直なところです(笑)。

――――やはり、試合のシーンは手に汗握る展開でした。
かるたを取ること自体は練習すればできるようになるんですけど、札の扱い方というか所作や仕草に、練習しているかどうかが出てしまうんですよね。取った札を相手に送る何気ない動作だったり、実際に競技かるたをやっている人ですら気づかない無意識にしている動きがあるんですよね、手元にある札はきっちり絶対に綺麗にそろっているとか。ルール化されているわけではないんですけど、長年かるたをやられている人なら絶対しない動きや所作があるので、そこは気を付けていました。
あとは、「札を取られる」シーンは難しいんです。ワンテンポ遅らせすぎるとわざとらしいし、札を取りに行くつもりでいないと「競り負けた」感じにならないじゃないですか。なので、取るつもりで行って取れなかった、というのは札を取る側と取られる側が息を合わせないと難しいんです。撮影現場ではモニターを見ながら「もっと早く、もっと遅く」とか調整をしていたんですけど、カメラで撮った俳優の動きがケーブルを通ってモニターに映し出されるまでの時間差とかも影響があったりして、なかなか大変でした(笑)。

(C)2018映画「ちはやふる」制作委員会 (C)末次由紀/講談社

真剣佑はオーディションで一度落としたんです

――俳優陣も今では日本を代表する若手俳優になりましたね。
キャスティングについては最初から決まっていたわけではないんです。千早役の広瀬すずさんは、当時、ネクストブレイクすると業界内で呼び声高く、白羽の矢を当てた感じですね。ただ、初主演ですから、最初は広瀬さんも「私でいいんでしょうか?」みたいな感じでした(笑)。といっても、千早みたいな子って現実にはそうそういないですからね。
真島太一役の野村周平くんは、不器用な太一役には彼が合ってるんじゃないかなと思って。原作だと太一はスペックが高いキラキラ王子様という感じなんですけど、周平くんも「自分はそんな感じではない」ということで、大分プレッシャーを感じていたみたいですね。なので、最初の方の彼の芝居は王子様キャラを一生懸命に演じているように見えて、もっと普通の男の子でいいんじゃない、という話はしました。太一はコンプレックスを感じている役だし、いろいろなものを手に入れているけど一番欲しいものを持っていない悩み続けるキャラクターなので、言ってみればお客さんに寄り添い続けるキャラクターですよね。周平君はそういうキャラクターを演じるのが得意なんですよ、恋愛が実らないとか(笑)。
綿谷新を演じた新田真剣佑くんはオーディションで選びました。当時、アメリカから日本に帰ってきたばっかりで、めちゃくちゃかっこいいなと思いましたよ(笑)。でも、実は、オーディションでは落としたんです。しばらくした時に、本人から「もう1回だけ見てほしい」と連絡がありまして。僕も彼の可能性と将来性は非常に感じていたので、じゃあもう1回見ようという話になりまして、そうしたらいきなり彼の芝居が上手くなっていたので驚きました。何をしていたのか聞いたら、いろいろな人を訪ねて演技を教えてもらっていたそうで、この役に懸ける思いが人一倍強かったようです。なので、僕としても彼の伸びしろというか、そのやる気と将来性に懸けました。その後、福井弁をマスターしてもらい、かるたを必死に練習してもらい、新になったという感じです。

――キャスティングの後は、何か特別なことはされたのでしょうか?
やっぱり初めからいきなり全員仲が良いということはないので、かるたの練習などをしていく中で次第にという感じです。でも撮影が始まる時期には大分みんな仲良くなっていたと思います。

新しいチャレンジをして、いつかまた青春映画が撮りたい

――では、最後に、監督の今後の展望をお聞かせください。
『ちはやふる』シリーズも完結しましたし、新しいジャンルにチャレンジしていきたいですね。サスペンスだったりSFだったり、これまでとは異なるジャンルにチャレンジして、いつかまた青春映画が撮れればうれしいです。

◆小泉徳宏(こいずみ・のりひろ)さん プロフィール
1980年東京生まれ。
2006年『タイヨウのうた』で劇場長編映画監督デビュー。08年に佐藤隆太主演『ガチ☆ボーイ』を発表し、国内に留まらず、海外での評価も高く数々の海外映画祭で上映された。以降、蒼井優・鈴木京香・竹内結子・田中麗奈・仲間由紀恵・広末涼子が出演した『FLOWERS』(10)、佐藤健主演の『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(13)を手掛け、同作では新人の大原櫻子を発掘した事でも話題に。脚本も担当した前作『ちはやふる[上の句][下の句]』(16)でも、新人や若手俳優を次々に起用していく先見性とその繊細で情緒豊かな演出手腕は、各方面から高い評価を受けている。

◆作品情報
題名:ちはやふる―結び―  監督・脚本:小泉徳宏  原作:末次由紀
出演:広瀬すず、野村周平、新田真剣佑、松岡茉優、賀来賢人、松田美由紀、國村準
<あらすじ>
創部一年目にして、全国大会に出場した瑞沢かるた部だったが、千早は個人戦で史上最強のクイーンに敗れ、さらに強くなることを部員たちと誓った。
あれから二年―、かるたから離れていた新だったが、千早たちの情熱に触れ、自分も高校でかるた部を作って、全国大会で千早と戦うことを決意する。
一方、新入部員が入り、高校三年最後の全国大会を目指す瑞沢かるた部だったが、予選を前に突然、部長の太一が辞めてしまう…。

◆フィリピン日本映画祭 概要

【名  称】フィリピン日本映画祭 英語名:Japanese Film Festival in Philippines
【主  催】国際交流基金マニラ日本文化センター
【都  市】マニラ、ダバオ、ナガ、パコロド、セブ(5都市9会場)
【会  期】2018年7月4日(水)~8月26日(日)
※マニラ :7月4日~8日、8月4日~5日、15日~18日
ダバオ :7月12日~15日
ナガ  :7月27日~29日
パコロド:8月9日~12日
セブ  :8月23日~26日
【作  品】15作品

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