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アジア映画ネットワーキングパーティーレポート

2017年10月27日(金)、国際交流基金アジアセンターと東京国際映画祭は、アジアに焦点を当てた映画交流の取り組みの一環として、アジアにおけるネットワーク構築を目的としたイベント「アジア・ネットワーキング・レセプション」を実施。アジアを中心とした27カ国・約350名の映画関係者、メディア、映画バイヤーなどが一堂に会し、映画を通した国際交流を行った。

本記事ではイベントに参加した各国の著名人に伺った、各国の映画事情や日本映画に対するメッセージを紹介する。

Gandhi Fernando/俳優/インドネシア

 

―インドネシア映画ならではの特徴はありますか?

日本映画も含めて映画先進国の作品は既に一つの“型”ができているように思いますが、インドネシア映画はあらゆる意味でまだ発展途上です。インドネシアで今起きていることを描くとすれば、物語はどうしても中流層や低所得者層の人々の生活に根付いたテイストになりますね。ただ、東京国際映画祭の中で私が見た『巫女っちゃけん。/MIKO GIRL』は、撮影の技術こそ異なりますがインドネシア映画に通じるものがあると思いました。

 

―東京国際映画祭に参加していかがですか?

東京に来ると、日本とインドネシアがそれぞれどのように発展していったのかの違いを見ることができます。これまでも東京には何度も来ましたし、大好きです。先日、釜山国際映画祭に参加しましたが、「私の映画は東京国際映画祭に参加するんだ」って自慢したくらいです。

 

―機会があれば日本映画に参加したいですか?

もちろんです。私は今、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、タイ、ベトナムの6カ国のオムニバスホラー映画を各国の女性監督と一緒に作っています。私自身は俳優としての活動にそこまでこだわってなく、脚本も書きますし、YouTube動画も作りますし、ジャーナリズム活動もしています。もっといろいろなことに挑戦したいですし、できることは全部やりたいと思っています。

 

Sharifah Amani/俳優/マレーシア

 

―東京国際映画祭は初めての参加ですか?

3回目です。今回、東京国際映画祭に参加した私たちの映画『ヤスミンさん』は、2009年に亡くなった映画監督ヤスミン・アフマドの軌跡を追ったドキュメンタリーなんですが、この作品に出演している行定勲監督とヤスミンは生前とても親しくしていました。当時、私自身は東京国際映画祭に参加できなかったのですが、去年はアジアの監督3名がオムニバス映画を共同製作する「アジア三面鏡」プロジェクトで作られた映画『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』があったので、参加することができました。

 

―今年は参加していかがですか?

とても楽しんでいます。私はいつもこういう場で東南アジアの映画関係者と交流できることをとても楽しみしているんですが、お互いの国の映画を見たり交流したり、とても素晴らしい時間を過ごしています。

 

―好きな日本映画はありますか?

『ラヂオの時間/Welcome Back Mr. McDonald』ですね。とても面白いですし、若い頃の渡辺謙が出ています。この映画は面白いのもそうですが、胸をうたれるシーンがたくさんあります。ラジオドラマの収録現場を舞台にした作品ですけど、ある人は真面目だったり、ある人はユニークだったり、またある人はとても歌が上手だったり、それぞれのキャラクターがとても上手に機能しています。日本人はよく真面目で笑わないなんて聞いていたんですが、映画を見てそれは嘘であることが分かりましたし、日本の文化を知ることもできました。その国の映画を見れば、自分たちが持っているステレオタイプなイメージは真実ではないと気付きます。

あと、心に残っている日本映画といえば『おくりびと』でしょうか。この映画から、日本人が悲しみと喜びのバランスをうまく保っている人たちだと感じました。人生はいい時もあれば悪い時もある。食事だっていつもスパイシーなものばかり食べるわけではないですし、幸せになるためには心のバランスを保つというか、自然体でいることが大切だと学びました。マレーシア人は極端なものが好きなんですよ、派手なものとか、辛い食べ物とか。だから、自然でいることを教えてくれる日本や日本の人にはとても感謝しています。

 

―将来、日本の映画界で活動してみたいですか?

もちろんです。以前に、インデペンデント系の映画ではありますが、日本の監督と一緒に仕事をしたこともあります。

 

Nang Tracy/俳優/ミャンマー

 

―好きな日本人映画監督はいますか?

園子温監督ですね。『恋の罪/Guilty of Romance』が大好きで、脚本や出演している水野美紀が本当に素敵でした。

 

―日本映画のどんなところが好きですか?

作品から垣間見える日本の文化やスタイルも好きですし、私個人でいうと物語が好きです。日本映画の物語はひねりが効いていますし予測不能な展開になるので面白いです。例えば、『バトルロワイアル』なんて大好きですよ、脚本も面白いと思います。

 

―今度どのような活動をしていきたいですか?

グローバルに活動していきたいです。ミャンマーや日本だけでなく、いろんな国で仕事をしてみたいですね。ミャンマーはまだ発展途上ですので実際にはまだ難しいのかもしれませんが、こうやって日本に来ることができたことは私にとってグローバルに働くことの第1歩になると思っています。

 

(左から)

Eric Ong/映画監督/マレーシア

Sangeetha Krishnasamy/俳優/マレーシア

Gautaman Bhaskaran/脚本家/インド

 

―日本映画の特徴はなんだと思いますか?

Gautaman:日本映画の物語の進み方はかなり独特だと思います。世界中の映画はハリウッドに影響を受けていると思っていますが、日本映画の特に名監督が手掛けた作品は物語の進め方において一般的な映画におけるセオリーとは違いモダンだと思います。

 

Eric:私は黒澤明監督の作品をこれまで数多く見ました。私にとって日本映画は、日本人やその文化的な側面、信念などを表現されているのでとても興味深く、例えば『おくりびと』でいうと、どのように人々が死や葬儀に向き合っているのか、その中でどのような思いを抱き、どのような言葉を発するのか、登場人物の哲学のようなものが垣間見ることができたとても感動しました。また、東京国際映画祭に来る際の飛行機内で『君の膵臓を食べたい』を見ました。愛や人間性、思いを感じることができて素晴らしかったと思います。

 

Sangeetha:マレーシアにいる私の世代の人間にとっては、“映画は言葉とともにある”と思い成長してきました。でも、日本の『呪怨』を見たときに、言葉が分からないのに逃げ出したくなるほど怖くて、日本映画にこの表現は当てはまらないと思いました。特に、『呪怨』は外国映画が持つ言葉の壁を壊す存在になったと思います。私は日本映画が大好きですし文化も大好きです。インド映画とはとても性質が異なるものですけど、日本映画にはリアルさを感じられます。

 

―インド映画も大きな特徴がありますよね。

Gautaman:インド映画は感情の表現が非常に豊かでドラマチックですね、静かな日本映画とは対照的だと思います。インド映画はとても音楽を大切にしていて、それはインド人が音楽を愛しているからです。私たちの人生はいつも音楽とともにあり、結婚式や誕生日パーティー、死に向かう時ですら音楽がそばにいます。

 

―インド人は映画を観る前にその映画で流れる歌を練習するそうですが。

Gautaman:映画で流れる音楽が冊子として、劇場の外で販売しているんですよ。ただ、昔はそうやって歌集を買っていましたが、今はもうインターネットがあるのでこういうことはないですね。音楽はインド映画にとっては欠かせない要素です。

 

Prabda Yoon/作家/タイ

 

―東京国際映画祭に参加されていかがですか?

初めてではないんですけど、とても楽しんでいます。個人的にもとても意義深い経験をしていると思っています。

 

―日本映画の特徴はなんだと思いますか?

小津安二郎、鈴木清順、北野武の作品には影響を受けました。彼らは細部や空間にこだわりを持っていて、ほかに沈黙、日本文化を反映したユニークなキャラクターなどに類似点があると思います。私のキャリアのバックボーンにはアートがあるので、芸術的な空間の使い方相関性にはとても興味があります。

 

―将来、日本映画を通した目標はありますか?

実は、私の第3作目は日本で撮影したいと思っています。既に日本の俳優とも何人かはコンタクトを取っているんですよ。

 

 

本イベントは2014年からスタートし今年で4回目となる。アジア地域にて映画にかかわる様々な人たちが相互理解を深め、さらなる映画文化の発展につながることを期待したい。

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