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全身全霊生きたくなる!日本のスポーツ青春映画6選

中学・高校の6年間、大学の4年間が、多くの日本人の青春時代だ。その間、学生達は仲間やチームワークの大切さを学び、勝利に喜び、敗北に悔し涙を流し、また多くは初恋の狂おしさにもがき苦しみ、大人になっていく。同時に、子ども時代に別れを告げる時であり、やがて就職して普通の大人となるその前に、大きな夢を育むことのできる時でもある。

日本の映画業界で青春時代を描いた映画が多い理由は、栄光に満ちた過去へのノスタルジーからだろう。それも、「勉強を頑張って有名な学校に合格した」などという栄光ではなく、中高生が放課後を過ごす部活 (もしくはサークル活動) を通じての日々の栄光だ。それこそが学びの場で、友情や絆、達成感、挫折、そして恋といった若き力の源泉なのだろう。

以下で紹介する6つの映画は、活動のテーマは異なっているものの、大人になっていく過程で自分らしく精いっぱい生きる日本の若者の姿をそのまま映し出している。

1. チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜

福井県の高校で実際にあった話に基づいた「チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜」(2017) は、女子高生たちのサクセスストーリー。高校に入学した主人公のひかりが、好きな男子の応援をしようと思いチアダンス部に入部するが、想像以上の厳しい練習にはじまり、様々な災難に巻き込まれる。しかし、ひかりはチームを引っ張りながら大きな夢を追い続け、目標に掲げた全米大会制覇を見事に成し遂げる。

1980年代後半にまで遡る日本のチアリーディングは、とても厳しい競技の一つと考えられている。だがこの映画では、チアリーディング経験者であれば誰もが経験する悪戦苦闘の日々を描きながら、部員が一つになり、どんな困難にも立ち向かっていけば、世界のトップに立てることができると訴えかけている。チアリーディング界のトップのアメリカに引け目を感じ、誰一人自分たちに期待する人がいない。そんな中でも、自分自身とチームの力を信じて突き進めば、最後に大逆転が起こるのだ。

 キャスト:広瀬すず、天海祐希 監督:河合勇人

2. タッチ

この映画のもとになったのは、あだち充の人気漫画シリーズ「タッチ」 で、和也と達也という双子の兄弟と隣の家に住む幼なじみの南の毎日が描かれている。高校生になったら野球部に入って甲子園に出るという同じ夢を持って成長した3人だが、運命はいたずらで、もつれる恋心、失敗、敵対が待っていた。しかし、再びそれぞれが希望に向かって歩み出す−そんな彼らの青春に日本中の男女が一喜一憂したものだ。

野球は日本では最も人気あるスポーツの一つで、ほとんどの学校に野球部がある。甲子園は、全国の高校の頂点を決める春と夏の大会で、各都道府県や地域から選抜されたチーム同士がすばらしい試合を繰り広げる。野球部に集う若者たちは誰もがこの甲子園を夢に見る。それは大会中の活躍でプロへの道が拓かれるだけではなく、高校で得た仲間たちと輝かしい活躍をする限られたチャンスだからなのだ。本作は、甲子園を目指すある野球部の物語であり、甲子園を目指す若者たちの誰もが体験する厳しい練習やさまざまな争い、チームプレー、情熱や野球への深い愛情が描き出されている。また、高いモラルを求められる球児から、日本人が美徳とする他人への敬意や誠意、気遣いなども学べるのではないだろうか。

キャスト:長澤まさみ、斉藤祥太、斉藤慶太 監督:犬童一心

3. シコふんじゃった。

修平の将来はほとんど決まりかけていた。大学を卒業したら親戚のコネで決まった会社に入社することになっており、卒業の日を待つばかりだったのだ。でも物事は思わぬ展開を見せる。指導教官から、卒業するためには相撲部に入らなければならない、と言い渡されたのだ。そうして入った相撲部には、ほとんどやる気を失くした部員が一名いるだけだった。これといった望みもなく始めた相撲だが、いい取組をする度に、気付かなかった新しい自分を見つけ出せると分かったのだ。後はその感覚を研ぎ澄ませばよかった。

「シコふんじゃった。」は、日本の国技である相撲に熱中する若者の姿を描いている。最近の若者は野球やサッカーなど欧米のスポーツにばかり興味を示し、相撲は単に厳しく古臭いだけの世界だと信じられている。本作では、そんな厳しい世界をもユーモラスに描きながら、他のスポーツと同様に相撲もまた楽しい競技であることもうまく伝えている。外国人の目から見た相撲(部員の一人であるイギリス人留学生は、良い相撲を取ることとお尻をむき出しにすることは関係がないと主張する)など新しい視点もふんだんに取り入れながら、相撲というスポーツを、これまでにない視点から見直している。大学を出て就職する前の「若き日々」の最後を映し出したこの映画は、一見ばかげたことに全霊を注ぎ、また自分自身を笑い飛ばすだけの能力を身に着けていく若者の成長の物語だが、こうした能力こそ、競争社会を生き抜いていくために必要な力なのだろう。

キャスト:本木雅弘、竹中直人 監督:周防正行

4. ウォーターボーイズ

大して水泳が得意でない高校生・鈴木は、とある男子高校の水泳部の部長だ。なぜかというと、他に部員がおらず廃部寸前だからだ。何をどうすればいいか悩んでいたところへ、美人の先生が水泳部の担当となったおかげで新入部員が急増。でもその先生が教えるのは水泳ではなく、「女のスポーツ」と思われがちのシンクロナイズドスイミングだと言い出した。一度は数十人にまで急増した水泳部に残ったのは5人だけ。しかし、彼らは高校に奇跡をもたらすことになる。

日本の映画界でも大きなヒット作となった「ウォーターボーイズ」 (2001) は、2000年代初めの日本でシンクロナイズドスイミングがブームとなるきっかけとなり、その後に新たなテレビドラマのシリーズが放映され、「シンクロ」スイミング部が続々と誕生した。これは、埼玉県の県立川越高校でシンクロを文化祭で披露した実話を基にした映画であり、たとえ人からは不条理に見えようと、自分が時間をかけ懸命の努力を傾けたテーマなら限りなく愛を感じられるものだということを、うまく描きだしている。この映画では、物事がうまくいかない時にはまったく別のアプローチを試してみるのが良いと言う意味の「押してもだめなら引いてみろ」という言葉が完璧に表現されている。日本の若者たちの青春を描いた映画としてひとつの伝説となった本作は、一見ばかげたチャレンジであっても決して諦めることなく日々の努力を続け、日本人の美徳のひとつである「がんばる」という精神をこれでもかというほどあなたに訴えかけてくるだろう。

キャスト:妻夫木聡、玉木宏 監督:矢口史靖

5. ミックス。

かつて卓球界の神童と呼ばれた多満子は、日本の会社に就職してごく普通の日々を送っていた。会社の卓球部の先輩と付き合っていたのだが、その先輩を別の女子社員に取られてしまってから、何もかもうまくいかなくなってしまった。傷心で故郷の町に帰った後、一からやり直し、卓球にそして恋に、失くしかけていた情熱を取り戻そうと決意した。

日本でスポーツといえば必ず思い浮かぶ卓球だが、国民的人気を得たのは、福原愛が活躍を始めた2000年代の初めからだ。この神童は、10歳でプロ入りしてから、少しでも上を目指そうとたゆまず努力を重ねるその姿で多くの人の心をつかんだのだ。その輝かしい活躍(2度もオリンピックでメダルを獲得した)の後、何人もの若い選手が現れた。たとえば平野美宇 (この映画にも少し登場) は2017年のアジア大会で優勝したが、これは最年少記録であり日本人女性としても初の快挙である。今日、ゲームセンターでもおなじみとなった卓球ゲームが、本作中で主人公が失いかけた自分をみつけ、誇りと自尊心を取り戻していく鍵の役割を担っており、大人であればどこか共感できる部分があるだろう。本作では、大人の仲間入りをして過ごす日々と、過去に置き忘れてきたものを取り戻そうという自由な心に従った毎日とを、深く見比べることができる。

キャスト:新垣結衣、瑛太 監督:石川淳一

6. ちはやふる―上の句―/-下の句―

末次由紀の漫画シリーズ「ちはやふる」 (2016) を描いた映画で、日本に古くから伝わるかるたへの熱い思いで結びつく幼なじみの3人にまつわるストーリーが展開する。同じ心で結びつきながら遠く離ればなれになった3人は、再び結びつきたい一心から高校生活を競技かるたにかける。

かるたはもともと16世紀にポルトガルから日本に伝えられた遊びで、向き合った相手との間に並べられたカードから、相手よりも素早くかるたを取るという、判断力とスピードを競う競技である。かるたは正月や文化的イベントではいまだ家族や友達との間で行われてはいるものの、日本文化の中でやがて消えゆく遊びの一つかもしれない。本作では、この競技の大切なポイントを紹介しながら、実際に全日本かるた協会が主催しているかるた大会の緊張感あふれる対戦の様子をよく映し出している。若者文化やその情熱、友情などを真正面に映しながら、その背景としてすばらしい日本の伝統美が描き出されていることにぜひ注目して欲しい。尚、2018年に続編である「ちはやふる―結び―」が公開予定。

キャスト:広瀬すず、野村周平、真剣佑 監督:小泉徳宏

ここで紹介した青春映画には一貫したコンセプトがある。固い決心、情熱、決して諦めない心、そして仲間との強い絆だ。それは偶然ではないだろう。人々との間の調和を大切にする日本では、一人ひとりが共通した価値観を心に刻むことが大切なのだ。そしてこれらは、さらに強くなろうと思った時に立ち戻るべき出発点でもある。人生は、決して心に描いた通りにはいかないのだから。

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