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カワイイだけじゃない!日本で流行ったファッションを映した邦画7選

外国人が日本をイメージした時に、日本にはある決まった「枠」が存在し、暗黙の了解の下で皆が共通して持っている常識から逸脱することをよしとせず、進化・変化が難しい文化であるという見方が多いかもしれない。しかし、一方で、日本にはファッションに関連するサブカルチャーが時代とともに生まれ、著しく変化している。こうしたサブカルチャーに根ざした生き方は「枠にとらわれている」という見方とは極めて対照的だ。ここで紹介する7つの映画には、時代やライフスタイルの変化を促したファッションスタイルがいくつも登場する。ロリータ、ヤンキーに始まり、ラグジュアリーなファッションライフ、そしてここ数年大ブームを起こした「山ガール」がハイキングや登山の際に着る山ウェアまで、映画を通して改めて日本のファッションを回想してみるのもまた面白い。

1. 下妻物語

どのような時代や社会においても、ファッションとサブカルチャーを含む文化は密接に関係しているといえる。従って、ビクトリア朝時代の人形が着ているようなドレスが好きな人と、だぼだぼのカジュアルウェアに革ジャンを着て、髪を脱色し、まぶたに濃いアイライナーを引いた人との共通点を見出すことはまずない。ところが、ロリータファッションに身を包む桃子と、ヤンキーで暴走族のイチゴの間には、対極にあるファッションや文化の壁を超え、思いがけない絆が生まれる点が、本作の新鮮なところだ。

ロココ調の影響で生まれたロリータファッションは1990年代から2000年代に日本で人気を集めた。特徴は丈の短いドレス、パステルカラー、それにまるでマリー・アントワネットのワードローブから出てきたようなプリント柄。作中では、ロリータを心から愛する主人公の桃子からロリータファッションの歴史やスタイルについて学ぶことがたくさんできる。それに対し、イチゴが着るのはヤンキー服。1980年代から1990年代にかけて日本の「不良少年少女」と呼ばれていた若者の間で広く人気を誇った典型的なスタイルだ。ヤンキーファッションは「抵抗」と「力」に基づいているが、映画からもよくわかる。ヤンキー少女は長いスカート、または上下揃っていない制服を着る。また、「ボンタン」「ドカン」と呼ばれるだぼだぼのパンツを穿くほか、象徴的なのは「特攻服」と呼ばれる丈の長いジャケットも愛用する。特攻服には自分の所属グループ名や好きな言葉などを刺繍で入れるのが一般的だ。若者サブカルチャーとしてのヤンキーは抵抗、そして階級差の受容に根ざし、「女性はフェミニンに装うべき」という考えに概ね基づくロリータとは正反対にある。作品の中で2人の登場人物とそのファッションがオーバーラップする様子は、壮観ともいえるだろう。

キャスト:深田恭子、土屋アンナ 監督:中島哲也

2. NANA

下妻物語と同じく、この作品も2人の若い女性がファッションとサブカルの違いを超えて助け合い友情を結んでいく物語である。彼氏を追って大都会にやって来た普通の女の子の奈々は、東京へ向かう電車の中で革ジャンを着た野心的なパンクロック歌手ナナと出会う。家探しの途中で偶然再会した2人はやがてルームメイトとなり、ライフスタイルの違いを超えてすぐに友達になる。同名の大ヒット漫画を原作とするNANAは、偶然や開かれた心から思いもよらない友情が生まれること、またその友情には傷ついた心さえ癒す力があることを思い出させてくれる作品である。

NANAにも日本のファッションに大きな影響を与えた流行スタイルがいくつも登場する。ロックスター・NANAの黒のレザー服と濃いメークは、1990年代後半から2000年代前半に人気だった「ビジュアル系」を思わせ、そう呼ばれる由来となった目立つビジュアル(見た目)やバンドのテーマと強く結びついている。派手なメークとヘアスタイル、鮮やかな色使いを共通の特徴とし、ナナのバンドにもそれが窺える。一方、もう一人の主人公・奈々は作品の中でさまざまなスタイルに変身する。日本の会社員が着るシンプルで清潔感のあるOLファッションから、秋葉原のオタクたちに人気のメイド服、2000年代以降ストリートで人気となったカラフルで、シャツやスカートに大きなリボンをあしらい、カールさせた髪と控えめなメークといったフェミニンなファッションまで披露している。

キャスト:中島美嘉、宮﨑あおい 監督:大谷健太郎

3. ヘルタースケルター

ヒット漫画を原作とする「ヘルタースケルター」 (2012) は、一見完璧に見えるスーパーモデル・りりこの悲劇を描いた作品である。りりこの完璧に整った美しい姿と成功の裏には整形手術という秘密が隠されていた。そしてりりこは心身共に、そして社会的にもきわめて残酷な崩壊の道をたどる。この作品はファッション界の華やかさの背後にある暗い部分を描き出している。

日本のファッション界を舞台にしたこの作品には、日本の人気ブランドや欧米から影響を受けた最新ファッションやメークが登場する。鮮やかな色使いで知られる著名なフォトグラファー・蜷川実花を監督として起用したほか、数々のファッションアイコンやデザイナーとコラボし話題作となった。例えば、りりこが映画のカバー写真で着て有名になった赤いドレスをデザインしたのはケイタマルヤマ(そして写真撮影は蜷川本人)だ 。作中に出てくるファッション誌やブランドロゴはどれも実在するもので、かつてないほどトレンド感あふれインタラクティブなファッション映画に仕上がっているところは必見だ。(ただしストーリーは暗いのでご注意を)

キャスト:沢尻エリカ、水原希子、桃井かおり 監督:蜷川実花

4. 溺れるナイフ

「溺れるナイフ」(2016) は古典的な青春恋愛を描いた作品であり、原作は同名の人気漫画。日本の青春恋愛に高校の制服はまず欠かせない。本作中では、ティーンモデルの夏芽がきちんと制服を着用する一方、奔放な航一朗 (コウ)はその真反対。コウはめったにボタンを全部留めることはないし、男子生徒が皆着ている白シャツの裾をズボンに入れることもほとんどない。

日本では大半の学校が用いている制服が、日本のファッション史の中で最も息が長いファッショントレンドと言っても過言ではない。制服は昔から学校の「顔」であり、スカートの丈、ソックスの色、どんな靴を履くかまで、そこには数多くの規則が存在する。また、制服は日本の様な一貫性、類似性、公平性を強く偏重する社会において重要だ。

制服には様々なタイプがあるが、最もよく見られるのは「溺れるナイフ」にも出てくるセーラー服。セーラーカラーがついたブラウスと、紺、黒、またはグレーのプリーツスカートの上下だ。日本では1920年に福岡県の女学校で初めて取り入れられて以来、ほぼ1世紀の間ほとんど変化せずに存続し、ここ近年はコスプレという形でポップカルチャーにまで影響を及ぼしている。この映画では日本の中学校や高校の制服の種類だけではなく、制服の着こなし方も見ることができる。不良はだらしなく、まじめな生徒は小ギレイに。それは今も変わらず続いている。

キャスト:小松菜奈、菅田将暉 監督:山戸結希

5. WOOD JOB!(ウッジョブ) ~神去なあなあ日常~

都会育ちの男子が田舎で林業に出合い、単純に見える労働にやり甲斐と目的を見出すという明るいコメディである。大学受験に失敗し彼女も失った主人公・勇気は、都会を離れ林業に身を投じる決意をする。そのきっかけは、研修生募集チラシの表紙が可愛い「山ガール」だったからだ。気まぐれな決意が災いし、困難続きの日々が続くが、次第に勇気は仕事やコミュニティの良さを理解し始める。そして例のチラシの山ガールとも出会い、彼女の意外な面を知ることに。

山ガールは文字通り「山の女子」を意味するファッショントレンド。アウトドア、特に登山が好き、着心地がよくても見た目を犠牲にしたくないという女性の需要に応えて発展したファッションである。山ガールという言葉は2009年、ファッション雑誌とメディアによって広く一般化し、この流れはわずか数年で社会にすっかり定着し、2012年には熊本県で「第1回山ガールサミット」まで開かれことにになった。山ガールの服装は世界中でよく見られるアウトドアファッションとさほど変わらないが、日本ではこのトレンドによって多数の山ガール向けウェブサイトや雑誌、モデルが誕生した。つまり、この映画も思い出させてくれることではあるが、山の上でも街中でも、ファッションは日本人女性にとって常に重要事項なのだ。

キャスト:染谷将太、長澤まさみ 監督:矢口史靖

6. ワンダフルワールドエンド

ファッションがより色濃く描かれる「ワンダフルワールドエンド」(2015) の主人公は、人気ビデオブログを運営する17歳のゴシックロリータ・詩織。彼女に憧れる13歳のファン亜弓との出会いをきっかけにティーン2人の物語は展開していく。

この作品では「下妻物語」にも出てくる従来型の可愛いロリータから派生した「ゴシックロリータ」スタイルが中心となっている。可愛いロリータとは異なり、ゴシックロリータでは暗い色の服、肌が青白く見えるメーク、カラーコンタクトレンズを多用して妖しい雰囲気を作り出す。近年日本ではゴシックロリータは減ってきているが、原宿や池袋など、東京の代表的なファッションエリアでは今でもその姿が見られる。

キャスト:橋本愛、蒼波純 監督:松居大悟

7. パラダイス・キス

フィクションながらもファッション業界とコラボレーションし撮影された本作は、2010年の東京を舞台に、主人公・紫が偶然、若く熱意溢れるファッションデザイナー集団に出会うことから始まる。高校生としての普通の生活にうんざりしていた紫だったが、デザイナー集団の創造性と熱気に大いに刺激を受け、彼らの新ブランド「パラダイス・キス」のモデルになってほしいと依頼される。

ファッションに興味を持つ人であれば、この映画のどのシーンも見所三昧だが、人気ブランド「L’est Rose」など実在するブランドと協力して作られた点もとてもユニークだ。日本のファッション業界の舞台裏を明暗含めて描き出し、楽しめるファッションショーのように完璧に仕上げている作品である。

キャスト:北川景子、向井理 監督:新城毅彦

ここで紹介した作品を観てもわかる通り、日本のファッショントレンドは移り変わりが早い。それに加え、非常に多様で、国内外の文化やトレンドに影響したり影響されたりする現状も加速度化していく。この7本の映画を観ることで、単純に語られてしまいがちな日本の流行やサブカルチャーやそれらに関連する人々について少しでも知ることができるのではないだろうか。もしかしたらあなたにもパラダイス・キスの紫のように、楽しい驚きに出合えるかも!?

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