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海外でも絶賛!国際映画祭で受賞歴のある日本映画7選

日本の映画産業における市場規模は2000億円以上にもなるといわれており、毎年数多く制作される作品の多くが国外で賞賛を得ていることに疑問はないであろう。事実、日本映画は、アジアの国々の中で最も多くのアカデミー外国語映画賞を受賞している。「七人の侍」、「羅生門」、「隠し砦の三悪人」などの映画で世界を魅了した世界のクロサワ・黒澤明は、映画史における最も革新的な監督の一人といわれている。長く、そして豊かな歴史を持つ日本映画において、今回は過去20年間で賞を受賞した注目すべき映画作品を特集。海外の映画評論家や聴衆に強く印象を残したであろう独特な空気感を持つ作品を紹介していこう。

1. 千と千尋の神隠し

世界中から最も賞賛を受けた日本アニメ作品のひとつ、スタジオジブリの「千と千尋の神隠し」は、アニメーションとしても、一映画作品としても、後の世代に大きな影響を与えている。

宮崎駿が原作・脚本・監督を務めた千と千尋の神隠しは、少なくとも10の国際機関から高い賞賛を得た。 (2003年の第75回アカデミー賞長編アニメーション賞を含む) 過去15年にわたり日本のアニメ作品を世界的に知らしめる担い手として、この作品はよく引き合いに出されている。また、この作品は宮崎の作品を、子どもだけではなく大人も共に楽しめるアニメ映画の地位へと押し上げた。2001年の公開より、この映画は170名以上の映画評論家に取り上げられ、New York TimesLos Angeles Times Varietyを含む多くの有名なメディアが、本作のプロット、声優、そしてもちろん宮崎を称賛した。2016年、千と千尋の神隠しは、21世紀の偉大な映画100選で4位に選ばれた ― もちろん、アニメ映画の中では堂々の1位だ。

監督:宮崎駿

2. おくりびと

おくりびとは日本国内での絶大な人気に加えて、第81回アカデミー賞外国語映画賞、第32回モントリオール国際映画祭グランプリ、第29回香港フィルム・アワード最優秀アジア映画賞を受賞した。

この作品はチェロ奏者の夢を諦め葬儀店で働くことになった小林大悟を主人公とした物語である。葬儀店は、もしかすると(どこの国でもそうかもしれないが)現代の日本社会であまり知られていない職業の一つだ。様々な死との直面しながらも日々の生活をおくっていく青年の姿を描いた本作品は、死者を棺に入れるというこれまで人々の目に触れることのなかった納棺師という仕事に注目を集めただけでなく、この伝統的な仕事に対する人々の誤った認識を正す大きな要因となった。また、本作品中では、故人に施される念入りなメイク技術から、棺に遺体を収める所作まで、納棺の仕事の裏側も見ることができる。

キャスト:本木雅弘、広末涼子 監督:滝田洋二郎

3. そして父になる

大事に育ててきた息子が、実は誕生時に病院で取り違えられた他人の子どもだった。本作はそんな運命に惑わされる二組の家族の葛藤と、そんな状況下でも家族として、親として成長していく模様を描いたヒューマンドラマだ。強烈な題材の作品だが、第二次ベビーブームだった高度経済成長期(1970年代)には、実際に日本でも同様の事件が起きていたことが今では分かっている。家族関係に頭を悩ませたことがある人はもちろん、幸せな家族との生活がある人も「もし自分が同じ立場だったら」という想像とある種の共感を得られる作品となっている。

是枝の監督9作品目 (脚本も担当)となる本作 は、2013年バンクーバー国際映画祭観客賞、サン・セバスティアン国際映画祭観客賞を受賞し、2013年トロント国際映画祭で上映された。

この映画はアメリカでも高い評価を得て、アメリカの映画会社ドリームワークスがハリウッド映画向けのリメイクを行う権利を獲得した。

キャスト:福山雅治、リリー・フランキー 監督:是枝裕和

4. 誰も知らない

出生届も出されず小学校にも通ったことのない男児が、失踪した母親の代わりに幼い他の3人の弟妹の面倒を見る。比較的裕福な中流階級がその大部分を占める日本では、極端な貧困層の存在は遠い昔だと考えられていた。実際に起きたネグレクト事件を題材に描かれた本作品は、そんな過酷な状況下でも健気に一生懸命生きる子どもたちの姿を通し、世界一安全な国と誰も疑わない日本社会における貧困や育児放棄という影の部分に焦点を当て、また問題提起をもたらした話題作となった。

作中で育児放棄された4人の子供たちのうち、事実上の世帯主となった映画の主人公、明を演じた柳楽優弥は、2004年カンヌ国際映画祭最優秀主演男優賞を受賞した。この4つ目の監督作品のおかげで是枝もまた、シカゴ国際映画祭最優秀監督賞にノミネートされ、また映画はベルギーで行われた第31回フランダース国際映画祭で最優秀作品賞を獲得。誰も知らないは、著名な映画評論家から広く前向きに論評されたが、彼らの多くがこの映画の憂慮すべきテーマへのショックを隠せなかった。The New York Timesは 「あまりにも自然な描写で恐ろしささえ覚える」と述べた上で、「わくわくする作品でもある。それは是枝の監督としての才覚だけでなく、 彼個人の世の中の出来事に対する深い想いを身に染みるほど感じさせられた」と賞賛した。

キャスト:柳楽優弥、YOU 監督:是枝裕和

5. 淵に立つ

平凡な家庭の家長である利雄は、最近刑務所を出所した古い知り合いの八坂を自分の家庭に住まわせることにした。平均的で穏やかだったこの家庭は、初めは八坂によって心地よい驚きを味わっていたが、次第にかき乱されていく。家庭内での緊張が高まる中、なぜ利雄が八坂を家に入れたのかが明らかになっていく。

浅野の際立った演技は高く評価され、映画は第69回カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞を受賞し、香港で行われた第11回アジア・フィルム・アワードでは最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞にノミネートされ、浅野が最優秀主演男優賞を受賞した。

 キャスト:浅野忠信、古舘寛治 監督:深田晃司

6. 岸辺の旅

3年間行方不明だった夫が主人公の瑞希の元に突如姿を現し、「俺死んだよ」と伝えるところからこの作品は始まる。二人は終わりのないロマンスを楽しむかのように旅に出ることになるが、しかし、それはむしろ長い別れへの始まりだった。

2010年に出版された湯本香樹実の同名小説の映画化作品である本作は、物哀しい原作の世界観に対して監督が行った意外性なアプローチが大きな称賛を受けた。ホラー映画作品ですでに有名だった黒沢清監督のロマンス作品ということも、新鮮さをもたらした要因の一つとなったはずだ。この映画は2015年カンヌ映画祭ある視点部門で監督賞を受賞し、2015年トロント国際映画祭に出品作品として選ばれた。

キャスト:浅野忠信、深津絵里 監督:黒沢清

7. HANA-BI

コメディアン、俳優、監督として日本で広く知られた北野武の映画である。北野はHANA-BI (アメリカでは “Fireworks” として上映) の原作・監督を務めたと同時に、北野は主人公の元刑事・西佳敬の役も務めた。

自身の不運と失態が重なり、勾留中の凶悪犯に襲われ数人の死傷者を出させてしまった後辞職を余儀なくされた西が、違法で危険な負のスパイラルに落ちていく。不治の病を患った妻や殺された刑事の未亡人、車いす生活を余儀なくされた前同僚に対しての責任感からか、西は自らをより危険な状態に陥れていき、衝撃的な結末を迎える。

第54回ヴェネツィア国際映画賞で金獅子賞、1998年のシカゴ映画評論家協会外国語映画賞、ベルギー映画評論家協会グランプリを受賞した本作は、北野の映画監督としてのキャリアの分岐点となった。本作によって国際的な場への進出機会を得て、Takeshi’s Castel(風雲!たけし城)のビートたけしとしてだけでなく、日本の映画監督として名を馳せることに成功した。

キャスト:北野武、岸本加世子 監督:北野武

この比較的小さな列島から生まれた映画がなぜ、国際的にこんなにも受け入られているのか?それは、本記事で紹介した7本の映画から垣間見える通り、これらの作品が海外で抱かれている日本のイメージとは違った日本を映し出しているからだろう。
あるいは、日本社会が持つ独特なものの見方や、言語や文化が生み出す空気感などすべての要因がもたらした結果なのかもしれない。今後、日本映画がますます国際的に受け入れられている点についてはもはや議論の余地はないだろう。

 

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