FOOD

食と愛情:愛に溢れた日本食と日本人の絆がみえる日本映画4選

映画から「和食」の定義について考える

日本における食は、食物を生産して消費するという自然の摂理の中枢にある活動としてみなされるだけではなく、人間関係を強固にするという意味においても不可欠であると考えられ、非常に重要視されている。それは一杯のラーメンかもしれないし、ありきたりなお弁当かもしれない、あるいは豪華なフルコースかもしれない。ここで紹介する映画4作品では、人とのつながりを形成する上で、食がどれほどまでに重要な役割を担い、一つの簡単な料理でさえも人生に大きな影響を与えることがあるということが描かれている。

1.のんちゃんのり弁(2009年)

本作は作家を夢見る無職の夫の元を去り、自立するために奮闘する主人公・小巻のハートフルストーリーだ。 1995年の同名人気漫画を原作とし、人間関係と象徴的な食べ物(本作品の場合は質素なのり弁)をテーマにし、女性の権利拡大についてうまく表現している。

31歳の時、小巻は夫の元を去る覚悟を決め、小学生の娘・乃里子の手を取って、地元である東京下町の京島に出戻る。これといった資格もないため、大都市での就職は極めて困難であることを目の当たりにする。もともと残り物で料理を作ることが上手だった小巻は、一風変わった美味しいのり弁を乃里子のために作り続け、周りの子供たちや、さらには先生の間でも大人気となる。ある日、小さな食堂で、小巻は人生で一番美味しい料理を味わう。この思いがけない経験からお弁当屋開業の決意を固めることとなる。

また、心温まるストーリーに華を添えるのが、人気フードスタイリスト・飯島奈美の美しい家庭料理だ。小巻の運命の行方から一連の厳しい人生の選択に至るまで、映画の随所で美味しそうな料理が中心となって話が進む。この映画を見終えたときにはきっと、美味しいお弁当を作るコツを学ぶことだろう。

キャスト:小西真奈美、佐々木りお 監督:緒方明

2.四十九日のレシピ(2013年)

「四十九日のレシピ」は魂をかき立てる物語である。年老いた妻・乙美が突然亡くなり、途方にくれていた良平は、妻の最後の言葉を繰り返し思い出していた。それは、手作りのコロッケサンドについてブツブツぼやく文句であった。同時に良平の前妻との娘・百合子の存在が明らかになる。百合子もまた試練の人生を歩んでいた。義母の死に意気消沈していた彼女は、不妊治療中にも関わらず、夫が若い愛人を妊娠させたことを知る。実家に戻った百合子は亡くなった乙美が死後に見て欲しいと家族のために残した「幸せな生活」のレシピ本を見つける。その後の49日間、 乙美が残してくれた知恵によって二人は再び自分の足で立ち上がる。

劇中では、レシピ本は心温まる美味しい料理を再現するだけでなく、人生の教訓としても使用される。良平が以前強く批判したコロッケサンドを再現しそれを一口食べたシーンでは、見る者全てに涙をもたらす名シーンだ。見事な脚本に基づくこの映画は、日本では食が人と人とのつながりの礎をなし、愛と家族への想いを表すシンボルであることを描いている。

キャスト:永作博美、石橋蓮司 監督:タナダユキ

3.武士の献立(2013年)

「武士の献立 」は、江戸時代の加賀藩を描いた、食を美しくドラマチックに演出した映画である。舟木家の相続人で加賀藩の料理人の安信と、バツイチの使用人で抜群の料理上手・お春の愛の物語だ。

船木家は「包丁侍」として知られていた。なぜそう呼ばれていたかというと、侍の刀を包丁と交換したのだ。しかし、安信は不満を抱えた腕の悪い料理人で、戦場で戦う侍になりたいと願う熟練した刀使いだった。これを見かねた安信の父は、絶妙な舌を持つお春に対し、自分の息子と結婚し、本物のキッチン侍にしてもらいたいと申し出る。安信は当初、自分の人生の社会的な役割に葛藤していたが、お春との恋が発展するのに比例して自身も成長し、料理へ献身的に取り組むことを通じて、真の伝承と責任を理解することとなる。食べ物の力を通じて得た愛の絆で、安信は自分らしく生きることのできる人生を導かれる。本作はコメディドラマではあるが、深く考えさせられるシーンも同時に見られる名作だ。一つアドバイスをすると、映画を見る前に食事を事前に済ますことをオススメする。劇中の食べ物は本当に美味しそうだから。

キャスト:高良健吾、上戸彩 監督:朝原雄三

4.南極料理人(2009年)

南極料理人は南極大陸の調査基地に潜伏した8人の日本人男性の冒険と災難続きの400日を追う。実在した南極料理人の西村潤のエッセイを原作に、食べ物や人と人との絆を描いたコメディータッチムービーだ。

海上保安官に勤める情熱的な料理人・西村は、ある日、妻と娘を置いて単身赴任で平均気温マイナス54度の陸の孤島・南極のドームふじ基地で観測隊員の食事を用意する料理人として12ヶ月間の任務を命じられる。いざ基地に入った隊員の人生は一変し、日常がサバイバル化する。必然的にメンバーたちは次々と人的危機に直面。極度のストレスに陥る隊員を他のメンバーが肉体的にも精神的にもサポートするという過酷な生活の中で、西村は隊員たちを自身のあたたかい料理で出迎えた。この映画では、外界から隔離された生活から生まれるストレスがホッとする料理を通して癒されるところが全編を通して描かれている。食べ物そのものとそれを共有する経験の両方が、南極の極寒の中で彼らを正気に保ち、生命の源となる。この映画で描写される一級品の食事映像を見終わった後は、刺身とラーメンが食べたくなるだろうし、さらには、厳しい時を共に過ごした親友との抱擁が恋しくなるだろう。

出演:堺雅人、高良健吾、生瀬勝久 監督:沖田修一

 

和食は日本の食文化において「美味しい食事」というだけではない。上記の4本の映画から、日本の食文化は人間関係を強く象徴している事が分かるだろう。火花が散るような衝撃的な出会い、傷心の癒し、啓発的な運命、または単純に生存のため…。心を込めて調理した食事を大切な人々と共有することが、日本人の想う「和食」の定義だと言えるかもしれない。

Text by Anisa Kazemi-Manshadi

Edited by GPlusMedia

RECOMMEND POSTS

ページトップへ