FOOD

ケーキとプリン:心もお腹も満たされる日本のスウィーツ映画4選

日本人は甘いものが大好きだ。しかし、単なる甘い物好きな国民というわけではなく、日本人にとってのスウィーツ とは、「芸術をかたどった甘いもの」なのかもしれない。それは、和菓子の繊細さをイメージしてもらえればわかりやすいと思うが、お菓子を作る技術や過程に表れる細部までの完璧主義な一面に見られる。また、お祭りムードで街中が浮かれる12月は、人々を幸せにするスウィーツが一番似合う月と言えるだろう。本記事では、そんなスウィーツに関連する日本映画を4本ピックアップしたので、ぜひ観ていただきたい。ついつい甘いものが食べたくなるに違いないので、コーヒーか紅茶の準備を忘れずに。

 1.洋菓子店コアンドル(2011年)

恋、自暴自棄、野心、そして、美味しく美しいデザート。 洋菓子店コアンドルは、 洋菓子店の世界とパティシエの裏側の世界を深く掘り下げた映画だ。恋人に再会するために鹿児島から東京に出てきた田舎娘・なつめは、恋人の海がパティシエ修行中のはずだった洋菓子店コアンドルに到着したや否や、彼がとっくに仕事を辞めていたことを知る。しかし、愛と希望と野心に満ち溢れたなつめは、海の帰りを待つ間にコアンドルで自分を雇うようオーナーに直訴。そこで、すでにパティシエを引退し、現在は評論家となった謎めいた男・十村との出会いから、なつめは変わっていく。

日本のインディーズ映画界で著名な深川栄洋監督による本作は、日本の洋菓子店の舞台裏で起こる出来事を映し出す中で、人のためを想って作られたスウィーツが人と人をつなげるということを美しく表現している。

キャスト: 蒼井優、江口洋介 監督: 深川栄洋

2.ちょんまげぷりん(2010年)

タイムトラベル、 サムライ 、 プリン。不揃いに見える3つのキーワードが奇妙にも繋がる荒木源作の漫画を基に描かれた本作品は、江戸時代から現代の日本へタイムスリップした武士・木島安兵衛の物語だ。安兵衛は、友也という少年と友也の母でシングルマザーのひろ子と出会う。現代日本での振る舞い方をひろ子と友也に教えてもらうお返しに、安兵衛は友也の「父」の役割を果たそうと努める。ある日、友也のためにデザートを作ろうとしていた安兵衛は、自身の隠れた才能を発見する。それは、口当たりの良いプリンづくりの才能だった。

アメリカのプディングよりも、冷たいカスタードフランに似ている日本のプリンは、多くの日本人を、ちょっとしたタイムスリップのように子供時代に戻してくれるデザートの定番品だ。安兵衛自身もそうであるように、型破りながらも甘い驚きで満ちた本作を、ぜひ読者にも楽しんでいただきたい。

キャスト: 錦戸亮、ともさかりえ、鈴木福 監督: 中村義洋

3.すべては君に逢えたから(2013年)

『It All Began When I Met You』

Blu-ray ¥1,714 +Tax DVD ¥1,143 +Tax

Warner Bros. Home entertainment

©2013 ”IT ALL BEGAN WHEN I MET YOU” FILM PARTNERS

 

クリスマスの定番ラブコメディ「ラブ・アクチュアリー」の日本版と表現できる映画が1つあるとすれば、 それは本作に違いない。 「すべては君に逢えたから」は愛、喪失、家族、そしてクリスマスシーズンに起こる不可解な魔法についてのマルチプロット映画だ。(まるで、日本で盛大に祝われている不可解なクリスマスのように)

欧米諸国をはじめとしたキリスト教徒が多い国々が持つクリスマスの伝統文化はないものの、クリスマスは今や日本の代表的なお祭りの一つとなったと言ってもよいかもしれない。 日本版クリスマスの変わった点は、そこには宗教的な要素は一切なく、ロマンチックなものだと見なされているということだ。

また、そんな風変わりな日本のクリスマスは料理にも象徴される。日本の代表的なクリスマス料理と言えばKFCだし、欧米で一般的なフルーツベースのクリスマスケーキとは異なる甘い白いクリームで覆われ、ルビーのような赤いイチゴで飾られたふわふわしたスポンジケーキなどだ。

ロマンチックな脚本や演出はもちろん、「ユニークで魅力的な日本のクリスマス」にも着目して本作を観てもらいたい。あなたの知らなかった日本を発見できるかもしれない。

キャスト: 玉木宏、 東出昌大 監督: 本木克英

4.チェリーパイ(2006年)


© Cherry Pie Project

本作は、ある日から自分が働くお店の看板商品であるチェリーパイが美味しく作れなくなったと感じ葛藤する熱心な新人パティシエ・つぐみの話だ。彼女にとってのパイは単にお店の人気商品ではなく、片想いのまま事故で帰らぬ人になってしまった先輩パティシエとの想い出がつまったものだった。想いを寄せていた先輩の死後、どんなに彼に教わったパイの味に近付けようと頑張ってもどうにもうまくいかないと感じていた。そんな苦しい日々を過ごしていたつぐみだったが、ある日一本の電話から彼女の人生は大きく変わっていく。

食をはじめ、文化的に欧米から大きな影響を受け、また積極的に海外の良いものを自国へ取り入れる日本でもってしても、チェリーパイはまだ日本人に人気のデザートとは言えないだろう。しかし本作では、大衆受けする人気よりも、自分が満足のいく「味」があるものをつくるという日本の職人魂が垣間見えるだろう。もしつぐみのような情熱的な日本の職人と出逢うことができれば、まだ日本で知られていないあなたの国の一皿もいつしか日本で陽の目を見るかもしれない。

キャスト: 北川景子、 江口のりこ 監督: 井上春生

 

本記事で紹介した4作品をみれば明らかな通り、日本ではデザートは単なる食事の終わりに出てくる一皿とは見なされていない。デザートは人々をより幸せにする芸術であると信じられており、また、パティシエは長年の修行を要する職業であるのだ。これらの映画は、美味しそうなスウィーツを眼で堪能できるだけでなく、日本文化のもつ「勤勉さ」や「思いやりを持ったものづくり」についても見ることができるので、ぜひそのような視点でも観てもらいたい。

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